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魂のリビルド ~kit LS 3/5aの場合〜

毎月5日~25日辺りは無休で中古品整備にいそしむ日々。大変ではあるのですが仕事というよりも楽しみつつ一台一台仕上げる歓びを感じていると言った方がいいかもしれません。

中古品は一点一様で一つとして同じ状態のものはありませんが、製品のことを一番知っている産みの親だからこそ分かる勘どころというかツボがあるのも事実。今日は部品取り用として買い取らせて頂いた2セットのkit L3/5a(初期ver.)の良いところを組合わせてリビルドしたプロセスをご紹介します。
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少々手前味噌ですが渾身のリビルドで再生したkit LS。達成感もひとしおです。

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これがリビルドのベースとなった品物が入荷した状態。奇跡的にきれいな外観でオリジナルユーザーさんの愛着を感じる一方、ほぼ全てのネジ, ターミナル類が緩んでおり、ネットワークボードがエンクロージャー内で脱落していました。ナットやネジの締付トルク管理は慣れていない方には難しいもの。つい優しめにドライバーを回されたのかもしれません。この個体に限らず私どもに戻ってくる製品をみていると、なんとなくオリジナルユーザーさんとお喋りしているような気になります。これもキット組立品ならではでしょうか。
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製品の状態にもよりますが、基本バラシて組み直すのが一番確実です。ネジ周りはすべて締め直します。
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ネットワークは外観だけでなく信号を入れてハイパス/ローパスが正しく動作しているか確認します。LCRメーターで各パーツの状態も確認します。
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脱落のショックでコイルも外れかかっていたのでホットボンドで再固定します。
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ネットワーク基板を木ネジで固定する仕様になっているので、ここもホットボンドで補強します。
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スピーカーターミナルは勿論、ユニットを固定するすべてのネジを増し締め。できるだけ同一トルクで再締結していきますがデリケートな部分なので電動ドリルを使わず手締めします。なるべくユニットの対角(例えば12時→6時→3時→9時方向)順に徐々に締め上げていくと均等にトルクがかかって良いでしょう。
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しっかり締めたい部位や均等のトルクで締めたい箇所はインパクトドライバーが大活躍。
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バッフル内側、ユニットを固定するナットに緩みは特に避ける必要があるので、ボックスドライバーで念入りに。
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締結後はネジロックで恒久的対策をします。振動部分はネジも緩みがちですので注意が必要ですがネジロックの量はホンの少々で十分です。
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バッフル部分が組み上がりました。この個体についていたウーハーはエッジの劣化で最低共振周波数がかなりドリフトしていましたので、別の個体からウーハーを移植しました。2セットあると良い所どりが出来るので品質が格段に向上します。
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ネジロックに関して少し補足しますと例えばスピーカーターミナルのように複数のナットで締める場合は末端部に一滴つけるだけ。軸の途中にネジロックをかけると逆効果で接触不良で音が出ないトラブルの原因にもなりかねません。ネジロックはあくまで緩み止めであって重要なのは適正トルクでしっかりと締結することです。
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案外やっかいなのがスピーカーターミナルの方向性合わせ。わたしは六角レンチをHF/LFに貫通させておいて内側からボックスで固定するやり方をします。これで向きも合いますし、ターミナル自体が回ることがないのでしっかり締まります。
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せっかくなのでターミナルの研磨をして酸化被膜をとってあげます。見た目だけでなく接触抵抗が減れば音にも良い影響が出るはずです。
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研磨前(左)と研磨後(右)。これだけ変わります。やりすぎるとメッキが取れてしまうので頃合いが難しいかもしれません。
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HF/LFをジャンパーするプレートもきれいにしてあげます。このプレートも別の個体からの移植品です。曇っていた金属パーツがきれいになるとグッと製品グレードが上がる気がします。
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各部のメンテが終わって再結線を行いフロントバッフルを再度固定します。HF/LFの位相が反転(位相角180度)するのが正しい極性ですので再結線時に間違わないように念入りに確認します。
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再度全箇所の締まり具合を再チェック。くれぐれも振動板を傷つけないよう細心の注意を払います。
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再組立が終わったあとはアンプにつなぎスピーカーターミナルから信号を取り出して左右の位相が合っているか、信号レベル同一か、特に100Hz以下で不要共振は起きないか、10kHz以上でカスレ音は出ないかを確認します。40Hz~50Hzで一晩バーンインすると低域の出方も変わってきます。

最後に音楽で音を聴いてやっと完了。約1.5日の工程でした。再販価格の高い製品も安い製品も工数は変わりませんが、アンプの場合キット組立品のリビルド案件ですと二週間以上かかるのが普通です。このLSはペア3万円くらいでつぎの方にお渡しできればと思っているところ。良い音で鳴ってほしいものですね。




by audiokaleidoscope | 2023-10-18 01:01 | オーディオ

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