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真空管アンプはどこまで音が良くなるか?”第五回「パワーアンプをグレードアップ(多極管PP編)」

6/23(金)オンエアのシリーズ企画”真空管アンプはどこまで音が良くなるか?”第五回はパワーアンプが多極管PPにグレードアップし、いよいよ佳境を迎えます。今回のお題はSV-P1616D/多極管仕様(松, 竹, 梅)です。
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梅セット(PSVANE 6L6GC仕様)

JJ ECC81/12AT7 × 2, JJ ECC82/12AU7 × 2, PSVANE 6L6GC × 4の梅セット。スペシャルゲスト「ステレオ時代」澤村編集長が番組内で試聴された三回全9パターンのなかで最も高い関心を示したのが、この梅セットでありました。

別稿で澤村さんはこんな風に書かれています。

”真空管に興味がなかった訳ではない。むしろ興味はあったが真空管アンプなんて『高嶺の花』だ、と思いこんでいたのだ。この値段(キットなら10万円強から!)で買えるなら、今どきの新製品としては破格と言っていい。(中略)憧れと言っていい真空管を使ったアンプだって、いまどきのメジャーブランドならエントリークラスのアンプしか買えないような値段で自分のものにすることができるのだ”

高価格化の一途を辿るピュアオーディオの世界に溜息を禁じ得ない仲間も多いなか、多極管PPゾーンは数ある真空管パワーアンプのなかで最もコストパフォーマンスの高いカテゴリーといえるでしょう。ハイパワーと引き換えに大味というイメージがあるかもしれませんが、梅セットでチョイスした6L6GCは音色的に中庸かつ音の粒立ちが適正でジャンルを選ばない聴き易さが魅力で、何より接続するスピーカーを選ばない点も特筆すべきポイントです。

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竹セット(PSVANE KT88-C仕様)

JJ ECC81/12AT7 × 2, JJ ECC82/12AU7 × 2, PSVANE KT88-C × 4の竹セット。KT88プッシュプルというプラットフォームは或る意味、真空管アンプのアイコンともいうべき存在で、真空管アンプを志す多くの同志が必ず一度はターゲットしたことがある形式といえるでしょう。

KT88は音のエッジが明確で”真空管=レトロ”というイメージを払拭するハイコントラストな音。P1616DDはプッシュプルでありながら常用出力(最大出力の50%程度まで)はクラスA動作なので、音に透明感があり情報量がスポイルされることがありません。

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松セット(Tung Sol KT170仕様)

Mullard CV4024 × 2, Gold Lion ECC82 × 2, Tung Sok KT170 × 4, Arizona 0.22uF × 4の松セット。現行多極管のなかで最大のプレート損失を誇るKT170をフィーチャーし、電圧増幅段の真空管, カップリングコンデンサーにも贅を尽くした仕様です。

KT170はKT150のクーリング特性を向上させた多極出力管のキング。多極管は直熱管と比較して写実的で色付けの少ない鳴り方をするのに対し、KT170はKT88と比較して中低域の量感があり温度感の高い表現が特徴です。40W+ 40W(以上)の出力を有し、ここ一番のピーク入力にも余裕綽々のパワーマージンを誇ります。

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参考出品(Gold Lion KT66仕様)

JJ ECC81/12AT7 × 2, JJ ECC82/12AU7 × 2, Gold Lion KT66× 4の組合せです。SV-P1616D/多極管仕様は無調整で主要なビーム管, 五極管を挿し替えることが出来ますので、多くのユーザーさんが複数の出力管でそれぞれの”味”を楽しんでおられます。

このKT66は存在感は地味目でありながら、非常に繊細で気品ある音で押さえておきたい存在です。敢えていえば女性ヴォーカルや室内楽などシンプルで密度感よりも音場感や繊細感を重視する方にお奨めのセットプランです。

一台で何通りもの音を楽しめる1616(イロイロ)シリーズの真骨頂ともいえるSV-P1616D/多極管仕様。真空管アンプは実はとても身近な存在であることを改めて気づかせてくれる存在といえましょう。



by audiokaleidoscope | 2023-06-23 03:27 | オーディオ

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