”真空管アンプはどこまで音が良くなるか?”第三回「フォノEQを加えてアナログも!」
2023年 05月 25日
今回も梅→竹→松の順番で同じ音源を同じゲインで比較試聴していきます。真空管やカップリングコンデンサーが変わることで、どう音が変化するか(あるいは変化しないのか)確認できるチャンスです。
アナログ環境が整うのはオーディオシステム拡張プロセスの中でも最大の変化点のひとつ。”オーディオやっててよかった〜!”と心から思える瞬間です。アナログはこれから…という皆さんは是非チャレンジしてみて下さい。音楽を聴く歓びが何倍にも膨らむと思います。
松竹梅どれを選んで良いのやら...という方には梅セットで十分ご満足いただけるということをまずお伝えしたいと思います。最近の”球転がしブーム”によって最初から高価な真空管にしないと良い音がしないのかな?と思っておられる方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
増幅段は○○, カソフォロ段は△△, 整流管は□□という組み合わせは一定の経験があってこそ、その変化が理解できるというもの。階段を一段づつ上がるからこそ見える景色が変わってくることを経験できる訳で、まずは真空管機器を使うことの愉しさを体験いただくことがとても大切だと思います。
松セットではV3(カソフォロ段)がECC82(12AU7)に変わります。同じ格好をしている球ですがECC83とECC82では電気的振る舞いが全くといっていいほど異なります。EQ1616Dでは無改造, 無調整で差替え可能ですが、一般的な真空管機器では差替えが出来ませんので十分ご注意く頂きたいところです。
ECC82はECC83と比べて増幅率が低い代わりに電流が流れるので、比較すると重心が下がりゆったりとした質感の音に変化しますが、本機種ではトータルゲインはほぼ同一です。加えて整流管が傍熱管5AR4から直熱管274Bに替えることで5AR4のテンションの高いエネルギー感に満ちたサウンドが、やや手綱を緩めたような余韻が感じられるようになり、奥行きのある音調に変化します。
松セットは特にジャンルを選ぶものではありませんが、ヴォーカル系や弦楽器のニュアンスをリアルに感じたいという方に選ばれる傾向にあるようです。微小レベルの再現性においては松セットに一日の長ありといえるかもしれませんね。