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ふたたび「上方リニア」と「下方リニア」

今日は夕方から据付け二件。お二方ともアナログメイン, JBLのホーンシステムで楽しんでおられます。まずはMさん宅へ。
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Pro-Ject 2Xperience+SPUでジャズをバリバリ鳴らされるMさん。
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プリアンプはSV-310最強バージョン。パワーは以前はSV-8800SE/KT170仕様をお使いだったのですが、ショールームでSV-91B+SV-284D / バランスドシングルの音を聴かれてこのたびメインエンジンの交換を決定されました。

MさんのSV-8800SEはそれは良い音で鳴っていました。過去のポストをご覧ください。

そのMさんが91B+284Dの組合せを聴いて感じたことは、おそらくSV-8800SEのどこまでも吹き上がるV8エンジンのビッグトルクに対して91Bの細やかなニュアンス、いいかえれば音が消え入る瞬間の空気感や奥行き感に対するご自身の感覚の深化であったかもしれません。

私どもではずっと前から「上方リニア」, 「下方リニア」というワードでアンプがシステム全体に及ぼす効果を表現してきました。言い換えれば前者は”どこまで音を上げてもうるささが無く音を濁らせることのない表現”、 後者は ”どこまで音を絞っても情報量や瑞々しさ, 量感を失うことのない表現”というニュアンスである訳ですが、その両方が欲しい場合の一例がSV-91B+SV-284Dという訳です。

SV-91B単独では約10Wであるのに対し284Dをモノで加えると約70Wにパワーアップします。当然のことですがパワーが増えたからといって聴く音量が変わる訳ではありません。では何が変わるかというと増幅系のゲイン(感度)が上がることによって今まで拾い上げられなかった情報(音だけでなく微かな空気の揺らぎや震え等)が聴こえるようになります。これが下方リニアです。

ハイレゾ音源の世界では登場後しばらくはサンプリングレートが高い(アナログ変換後の周波数帯域が広い)音源がもてはやされる傾向にありました。言い換えればグラフ化した時のX軸のレンジが広いものほど良い音源であるという考え方です。48kよりも96k, 96kよりも192kがアナログ復調時の再現性が高いこと自体はもちろん間違いではありません。

他方この10年ほどの傾向で言えば、特に制作者サイドにおいてビット深度(bit resolution)の方が重要であるという認識が一般化してきています。言い換えればグラフ化した時のY軸のレンジが広い(深い)ものほど音楽のダイナミックレンジが大きくリアルな音源であるという考え方です。これも下方リニア的な考え方に通じているといえましょう。

SV-8800SEから91B+284DにチェンジしたMさんのサウンドは従来のエネルギー感そのままにレンジが拡がり、シンバルの揺らぎまで見えるような音に変化したようです。困ったことにいままで十分だと思っていたJBL4429が少し物足らなく感じてきた…これがオーディオという趣味の業(ごう)の深さ。4343か4344の出物を探せ!という命が下ることとなりました。

次に向かったはSさん宅。SさんのシステムはプリSV-300LB(Western Electric 300Bバージョン), パワーUESUGI U.BROS-330AH(交流点火300Bpp) + SV-284Dバランスドシングル(ELROG ER845仕様)。今回UESUGIアンプがシステムに加わりました。
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従来SさんはJBL4367を284D二台で鮮度感満点の音で鳴らされていました。こちらをお読みください。

転機はMUSIC BIRDオンエアで330AHの音を聴いたことだったそうです。

いまの音には満足している…これに300Bの音の艶やかさが加わったらもっと良い音になるのではないか?そんな動機だったのもしれません。今回最初に行ったのは330AH単独で鳴らすことでした。

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330AHは公称出力30W/ch.ありますから、よほど特殊な使い方をされない限りパワー不足ということはありません。Sさんはかなりの大音量派ですが、それでもJBL4367の高能率から考えれば十分なパワーマージンをもっていると言えます。

330AH単独で鳴らしてみると300Bらしい温度感の高さに加えUESUGI伝統の中庸さが加わって大変聴き易いサウンドに変化しました。SさんはサブシステムでU.BROS-300AH(300Bシングル)もお持ちですが、やはりプッシュプルの持ち味である中低域の量感が増し重心が下がった印象。さすがUESUGI!という風格を感じる音です。

次にSV-284Dを330AHに連結します。いまでも多くの方が”ブースターアンプって…?”と思っておられると思いますが手順は単純。330AHのスピーカー出力を専用変換ケーブル(バナナ - XLRオス)で284Dの入力に接続するだけ。ゲインHIGH/LO, NFBあり/なしの設定は聴感で決めて頂ければ結構です。ちなみに284Dは一台でSTEREO, 二台でMONOという使い分けが可能です。

284Dを加えた330AHのサウンドは低域の締まりと高域のエッジを加えた鮮度感が最大の変化。そしてMさん宅と同じくローレベルの解像度, 音の鮮度, スピード感が増して従来以上にダイナミックレンジが増したようです。

Sさんが”ほんとは284Dを下取りに出そうかと思っていたんですが、これ聴いちゃうと出せないですね”と仰っていたのが印象的でした。帰宅は深夜になりましたが楽しいMさん宅, Sさん宅納品でした。


by audiokaleidoscope | 2023-03-07 12:29 | オーディオ

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