今日はSさんご依頼のオープンリールデッキ特性確認。過去メーカー整備を二度受けられた個体だそうですが、どうも気になる点が…ということで私どもで健康診断を行うことにしました。回転系は専門外ですが基本的な測定はアンプと大きくは変わりませんので、現状把握して問題あればエビデンスを添付して再度メーカーに送ろうという目論見です。
Sさんの懸念は再生時のL/Rバランスが取れていないのではないか、ということでしたので1kHz/0dBmの正弦波を入力し、CAL(固定), UNCAL(可変)双方でのレベル差確認です。この場合ヘッドの劣化なのかバッファアンプが原因なのかを切り分けて検査しないといけないので少々大変でした。

結果的にはヘッドは正常でしたが、可変出力時の出力レベルに差異(L > R)があることが分かりました。恐らくVR(可変抵抗)のバラツキが原因ですのでCALモードで運用すれば問題ないでしょう。ヘッドの洗浄を行って終了。メーカー送りも不要という判断です。
今回の事例から学んだことは、多くの場合メーカー修理を依頼してもペーパー一枚のレポートが戻ってくるだけで自分が一番気になっていた部分がメーカーでちゃんと検出されて、結果適切に対処できたかが分からないことが往々にして起こりうる事でした。
メーカーレポートで異常なしは恐らくその通り。問題は診ているポイントとレベル感が一致していないことです。Sさんの懸念は僅かな部分で、メーカー的には誤差範囲ということになるでしょう…よく言う”修理あるある”、メーカーへ送ったが異常なしで戻ってきた、という事例は私どもでもありますが、もう一歩寄り添って詳しく問題を掘り起こす必要があることを改めて経験した気がします。
今回測定器の挙動も含め、Sさんに2時間以上立ち会って頂いての検証でしたので、ご本人も納得のご様子。どうすれば問題を回避できるかのポイントも分かって良かったと思っています。
検査を終えて作業場から一緒にショールームへ移動しMさんと合流。SさんもMさんもJBLのホーンシステムをお使いですがハーツフィールドの音を聴いたことがありません…というか殆んどの方が聴いたことがありませんから興味をもつのは当然ですね。再組上げが終わって三週間余りですが、すでに20数組の方が遠方から試聴にいらっしゃって、実は何人もの方から譲って欲しいとお声がけを頂いています。

ハーツフィールドはオールホーンの3Wayですが、その鳴りっぷりが最大の関心事であることは言うまでもありません。私が思う最大の魅力はどれだけ音量を上げても煩さがない、どれだけ絞っても明瞭度が下がらないバランスの良さということになるでしょうか。
そしてもう一点、アンプの差異を非常によく出すこと。これは後の4343, 4344以上の特質であり、ハーツフィールドの大きな魅力です。

目下いちばん”らしさ”が出るのはこの組合せ。SV-310(プリ)→SV-91B(パワー)→SV-284Dバランスドシングル(ブースター)の組合せです。SV-284Dは無帰還モードで鳴らしていますが、91B単体では拾い上げ難かったローレベルのニュアンスがしっかりと描き出されていて、ずっと聴きつづけてしまいます。
現状の見込ですが、最初に手を挙げて下さったTさん宅へ3月中に据付けに伺えればと思っていますので、試聴ご希望の方はお早めにご一報頂ければ幸いです。
※追記 3/5(日)9:30~15:00で”ハーツフィールドを聴く会”(予約不要@当社ショールーム)を行うこととなりました。当日は混み合う時間帯もあると思いますが、お気軽にお越しくださいますよう、お知らせいたします。