今週オンエアの真空管アンプ一本勝負は久しぶりのブランド研究。上杉研究所の新作「
U・BROS-330AH」をとりあげさせて頂きました。ステレオサウンドグランプリに輝いた超話題の製品で予約殺到とのこと。私も大変気になっていた製品で収録を楽しみにしていたのです。


U-BROS-330AH 300Bpp モノラル・パワーアンプ(2台一組)
価格:1,850,000円~2,100,000円(税別 ステレオペア)
真空管カバーG-330 価格40,000円(税別 ステレオペア)
300Bはシングルが主流で各社から製品がリリースされていますが、プッシュプルでの製品化例は決して多くありません。シングルの澄み切った自然な音場も300Bの魅力ではありますが、プッシュプルでしか得られない実体感と豊かな中低域の倍音も大変魅力的なもので、私どもでも創業以来つねに300Bppをラインナップに加えてきました。
UESUGIでは前作U・BROS-300AH(300Bシングル)が非常に好評で
番組を聴いて購入を決定された方もいらっしゃったほど。今回はシングルにつづき交流点火を採用されたということもあり、高い関心とともに収録に臨み、期待以上の音質を満喫しました。
U・BROS-300AHの技術的特徴はメーカーリリースに詳しい訳ですが、もっとも特徴的なのは”サークロトロン”回路を採用したところでしょう。簡単にいえば通常のプッシュプル回路は出力トランスで波形合成を行っているのに対し、サークロトロン回路における出力トランスはインピーダンスマッチングのみを行っており、回路的にはOTL+オートフォーマー的な構成に近いといえます。
音質的には300Bの瑞々しさをストレートに出す傾向で、シングルの透明感, 繊細感を残しつつ大出力化を図ったところが魅力であると感じました。UESUGI伝統の真空管長寿命化への配慮も徹底しており、一般的にはプレート損失の60〜75%程度のオペレーションが普通であるところ、U・BROS-330AHではアイドリング電流35mA, 実損失14W(35%)という低損失動作となっていますが、30W/8Ωという大出力(クラスAB2)を得ています。

番組収録時の様子。ぜひオンエアでUESUGIサウンドをお楽しみ下さい。デモ機の貸出も可能ということですので、お付き合いのあるオーディオショップを通じて依頼いただくと良いでしょう。

上杉研究所 藤原伸夫さん(中央)
ところ変われば品かわる…同じ300BプッシュプルでもUESUGIにしか出来ない回路、出せない音があるのだと改めて感じた収録でした。ぜひお楽しみ頂ければ幸いです。