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Before / After

暮れもだんだん押し迫ってきて大変な状況になりつつある今日このごろ。先週末、今月の特選中古品のお品書きをアップしましたが、製品の整備にぎりぎりまで掛かりそうな感じで少し焦っているところです。

買取りの依頼をいただいてから私どもで販売に至るまで短いもので一ヶ月。メーカーオーバーホール(新品再生)品はそれ以上、自社製品の場合は二ケ月以上かかる場合があります。一番工数がかかるのは何といっても手配線アンプのメインテナンス。今日はその一例をご紹介しましょう。

この個体は既に数か月前に新しいユーザーさんのお手許にお渡し済のSV-S1628D / 845仕様。入荷時(Before)とメンテ後(After)を並べてみました。
Before / After_b0350085_23493382.jpg
Before : 意図的に解像度を下げてあります

ご提供くださったお客さんの名誉のために申し上げますと入荷時点でアンプの動作自体に大きな問題はありませんでした。一方でたとえキットであろうと販売元である当社が整備し保証をつけて再販する以上は、ご購入いただく皆さんの期待以上の責任がありますので、買い取った状態そのままで再販、ということは決してありません。

過程については省きますが、結果的にこの個体はリビルド(再組立)をさせていただくこととし、このような状態で再販させて頂きました。
Before / After_b0350085_23493355.jpg
After

どれだけの時間と工数が掛かったかについては申し上げません。再販時はかなり高価にはなりましたがこれで良かったと思っています。思い出すと当社が自社キットの買取~再販のスキームを計画しているとき、関係者や同業他社からは異口同音に”わるいことは言わないからやめておけ”と忠告されました。簡単に言えばビジネスとしては成立しない、コスト倒れになるに決まっている…そんな感じだったと思います。

しかしながらこの仕事を始めて来年で25年、SDGsなんて言葉が聞かれる遥か前からいつか自社製品の再生事業をやらなければならない…とずっと思ってきました。実際やってみるとまさに「言うは易し行うは難し(Easier said than done)」を地で行くような日々な訳ですが、大量生産, 大量消費, 大量廃棄で良かった時代は終わり、今モノづくりに携わる者としてやるべきは自ら世に出した製品を少しでも長くお使いいただくことだと強く感じています。

今日も”託するなら産みの親へ”…と言って下さる皆さんから製品が届きます。実際全ての製品が再生できる訳でなく修理時の部品取り等の用途に保管させていただくものもありますが、今後も全てを大切な資産としてお預かりしていきます。それがこの業界で仕事をさせて頂いてきた、せめてもの恩返しになればと思っているところです。


by audiokaleidoscope | 2022-12-19 23:59 | オーディオ

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