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MADE IN JAPANの誇り Toshiba 12AU7A

昨日 第一報をお知らせしたToshiba(東芝)12AU7Aの受注を開始しました。

東芝真空管は国内でも最高クラスの信頼性で永く賞用されてきたので皆さんも真空管ストックを探せば東芝管が一本や二本は出てくる…というほど馴染みの深いブランドである訳ですが、実は今や世界的にみてもMullard, Telefunkenと同様に評価され、価格も急速に上がっているような状況であるのをご存じでしょうか。

この事実を改めて知るきっかけだったのは欧州のブローカーにMullardのCV4003はないかとオファを送った時でした。しばらくすると下記の返信が届きました。

Mullard is good, but why not use Toshiba?
It is a great tube with extremely low noise, wide range, and the highest electrical margin.

直訳すると「Mullardも良いが、なぜToshibaを使わないのか?非常にローノイズでワイドレンジであり電気的余裕度も最高峰の素晴らしい真空管じゃないですか」みたいな感じの回答で、彼のStock ListではToshiba球はMullardとほとんど同じプライシングをされていることも分かりました。むしろ海外の業者が国内のストックをごっそり持っていっているような状況でもあるようです。

以下、今回わたしどもが厳選して調達したToshiba 12AU7の説明を行っていきます。
MADE IN JAPANの誇り Toshiba 12AU7A_b0350085_02475640.jpg
ちょっとみると何の変哲もない12AU7。末尾のAはローノイズ球につけられるサフィックスです(現行球は必ずしもこの限りではありません)。画像をよくみるとJAPANの下に「2H」とプリントされているのが分かると思います。これが気になって東芝さんのOBの方や同業者にも色々と伺ってみたのですが乱数化されたロット番号で必ずしも「1972年の八月生産」というような単純なものではないことが判明しました。もしこの辺りの情報をご存じの方がおられましたらご教示頂ければ幸いです。

ではこの東芝(いまやToshiba)の評価の高さについて現物比較と試聴の結果を書いていきましょう。まず幾つかの画像を貼っていきます。
MADE IN JAPANの誇り Toshiba 12AU7A_b0350085_02584020.jpg
写真の撮り方がイマイチで分かりにくいかもしれません。左からJJ(現行), GE(NOS), Toshiba(NOS)です。当然のことながら電気的には同じ12AU7である訳ですが、注目すべきはプレート(内部の行燈状の電極)のサイズです。ToshibaはJJの倍ほど、全盛期のGEと比べても1.5倍程度の大きさであることが分かります。

以前S1616DでEL34とKT170を差し換えた時の温度の違いについて書きました。

同じアンプでも使う出力管が変わると管面温度が70℃も変化することに驚かれた方もいらっしゃったと思います。それもイメージ的にはプレート損失の大きい真空管の方が発熱も大きそうな気がするのが逆であったことを意外と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。他方これを真空管の定格に対する実稼働環境との余裕度(マージン)と考えると合点がいくという方もおいでになる筈。

つまりToshiba 12AU7Aが「the highest electrical margin」と評価を受ける大きな要因が外観(プレートサイズの差異)からも分かろうというものです。

つぎにNOS 12AU7のなかでも特に人気,評価の高いブランドと比べてみます。
MADE IN JAPANの誇り Toshiba 12AU7A_b0350085_02585180.jpg
左:松下 12AU7(通測用) 右:Toshiba 12AU7A
MADE IN JAPANの誇り Toshiba 12AU7A_b0350085_02585627.jpg
左: Tosiba 12AU7A 右: Mullard ECC82(後期)

こうしてみると国内最高品質と謳われた通測用の松下U7や今やペア3万円以上とも言われるMullard ECC82よりもToshiba 12AU7Aのプレートサイズ(マージンに対する考え方)が抜きんでていることがよく分かります。これが世界的評価が急速に高まっている要因の一つでしょう。

もちろん重要なのは音質であることは言うまでもありません。昨日写真をお見せした8800SEのほかにSV-Pre1616D, SV-S1616D/Western Electric 300B仕様, SV-S1616D/KT170仕様, SV-S1628D/211仕様 等で試聴した感じでいえば最も印象に残るのは中低域の密度感。「弾む感じ」なんて言い方をしますが、ウッドベースの沈み込みやチェロの胴鳴りの深さが増し且つ解像度も上がるところが素晴らしい。

一般的に12AU7系は音の温度感や太さに影響を及ぼすと言われ、Mullard CV4003などはその馥郁とした中低域で知られた訳ですが、このToshiba 12AU7Aはかなり高精細で高域のエッジも明確に描き出す傾向です。分かりやすく言えばTelefunkenほど硬質ではないものの、12AU7らしい中低域に高域のレンジ感を加えた感じとご理解下さい。
MADE IN JAPANの誇り Toshiba 12AU7A_b0350085_03345778.jpg
Pre1616Dの松セットはじめ各機種の最強バージョンも既にToshiba 12AU7A標準に変わっています。ローの締まった押出しの良さが最高に気持ちいいですし、販売側として何より信頼感につながっているのが選別落ちする個体がほとんど無いこと。MADE IN JAPANが誇るべき大きな魅力(特質)であろうと思います。

発送は1月初旬から順次行って参ります。在庫は数百本ありますので即完売ということはない(見込み)です。2022年の吉兆はToshiba 12AU7Aととも始まる…そんな佳き真空管の登場です。



by audiokaleidoscope | 2021-12-29 23:59 | オーディオ

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