今日はショールームで今年最後の地元コミュニティラジオ番組の自前収録。

コロナ禍以降はこのような状態が常態化していますが、下手なりに慣れてきて少しづつ要領がよくなってきている気はします。いまや誰でも発信側になれる時代。スマートフォン一個で居ながらに配信を行い、それこそ何百万という聴取者を獲得する方もいる世の中です。問われているのは手段や方法でなく発信する内容(メッセージ)そのものであることを痛感します。
いまでも忘れないことがあります。MUSIC BIRDの番組を担当させていただく前の事だと記憶しておりますので、少なくとも8年以上前のことですが或るオーディオイベントでMUSIC BIRD公開収録のゲストに呼んで頂いた時のこと。対談のなかで”高音質というのは確かにMUSIC BIRDの強みの一つですが、それ以上に中身(番組)が面白いことが最大のレゾンデートル(存在価値)です。聴取料を払う代金以上のワクワクがあるからこそ聴き続けたいと思うんです”というような事を言った記憶があります。いま思うと”じゃあ、お前やってみろ”という事のきっかけだったかもしれません。
私自身MUSIC BIRDに加入したのは多分1997年頃だったと思いまずが、何が面白くてずっと聴いてきたかと言えばパーソナリティの皆さんの熱い思いやメッセージが聴きたくて仕方なかったから。当時はまだDATでエアチェックしていた時代でしたが、幾つかの番組はオンエアが楽しみで仕方なく、どんなに忙しくてもその時間帯は家でチューナーの前に噛り付いてました。
その番組の一つが「PCMジャズ喫茶」(パーソナリティ寺島靖国さん)だった訳ですが、その主な動機は高音質というよりもゲスト安原顕さんとの口角泡を飛ばすような対談の内容が面白かったからです。今でも
アーカイブ放送を聴くことが出来ますが、人が介在することでこれほどまでにジャズやオーディオがヴィヴィッドに迫ってくる経験と興奮は嘗てないものでした。私に出来るのは真空管アンプで聴く音楽の愉しさを伝えることだけですが、それでも楽しみにしていますと毎回メッセージをいただくのが嬉しくて、何年も地元と東京両方で続けることが出来ているのだと思います。
自己責任で配信することと企業が運営する放送局のパーソナリティとしてマイクに向かうのは意味が違います。その責任を全うしながらも他の出演者さんと自分を差別化しアイデンティティを維持するのは結構大変なことかもしれませんが、何より大切なのは自分が楽しむこと。
アンプの開発も番組の企画もそうですが、自分がワクワクするとが何よりも大切で、その気持ちが一人一人に伝播していくという意味においては違うのは形態だけでモノづくりも番組づくりも根幹は共通しているような気がします。アンプ屋さんも楽しいですがラジオ屋さんもまだまだ辞めらないですね。