昨日のエントリーは予想以上の反響でした。内容的にはかなりマニアックでしたが、時代の気分がアナログに向いているのは確かであることを改めて感じた次第です。有難うございました。
では世のアナログブームがみんな高級ゾーンに向かっているかと言えば決してそうではありません。今日はもうひとつのアナログブームについてお話しようと思います。

見ての通りの45回転のEP(通称ドーナツ)盤です。主に70年代、莫大な枚数がプレスされ、誰もが家でレコードを聴いた時代の忘れ形見(がたみ)のような感じもありますが、あれから半世紀近く経って再び訪れたブームによって俄かに再び注目を集めていることをご存じでしょうか。
写真のEP盤はなんと100枚2,000円(!)で購入したもの。”見計らい”といって内容お任せ…中には傷が入っているものもあるしダブっているものもある、そういう前提で一切文句なしという条件で買うのですが、毎回ビックリ箱を開けるようなワクワク感でいっぱいです。中には誰だ、これは?...というものも沢山ありますが、当時はマスターもアナログですので、どれもそれなりに時間とコストを掛けてレコーディングされていて然るべきオーディオで聴くと結構いい音するものも沢山あります。
実は最近のEP盤ブームは、これらをコレクションしていた世代の先輩たちが断捨離ブームによって一気に市場に放出したことが背景にあるらしいと言われています。懐かしさだけでない、若者にとっての新鮮さ、そしてモノとしての魅力、更には手軽に買えるということの相乗効果も無関係ではないでしょう。一枚何万円(以上の)オリジナル盤コレクターの部屋の傍らに、歌謡曲のEP盤が並んでいる光景も珍しいことではなくなっています。みんな密かに楽しんでいるという訳です。
あとは鳴らす装置も選択肢が大きく拡がってきていることも大きな要因でしょう。

これは少し前にコロナで延期になったフリマ用に用意したポータブルプレーヤーです。カートリッジがついていてアンプが内蔵されていてスピーカーもついていて、乾電池でも100Vで動いちゃう一体型で何千円です。ガジェット的にも楽しいこれらの装置がレコード、ひいてはオーディオ装置への興味をふたたび高めてくれるのであれば、こんなに嬉しいことはありません。
わたしのようなザ・ベストテン世代にとっては懐かしい、若者にとってはオシャレなアナログ。LPはちょっと敷居が…でもEPだったら飾っておくだけでもカッコいい、そういう時代の空気がもう一つのアナログブームを形成しているというお話でした。