私がこの仕事を始めた90年代終わり頃、アナログ(LP)は不遇の時代だったと言えるかもしれません。オーディオイベントのデモでもLPを使うところはほとんどなかったと記憶しています。
あれから20年余、気がつけば思いもよらなかったアナログの急伸によってオーディオの楽しみ方は更に拡がっています。”今日は聴くぞ!という時はアナログ”という皆さんも多いと思いますが、実際CDよりもはるかに機器の使いこなしは難しい訳で、一朝一夕に良い音が出るような簡単なものではないというのもオーディオという趣味をより奥深いものにしているような気がします。例えば…
カートリッジはMMとMCがある
フォノイコライザーも真空管でいえばCR型とNF型がある
駆動形式もDDとベルトがある
シェルやシェルリードで音が激変?
ターンテーブルシートによるチューニングが流行
これら無限ともいえる組合せとセッティングによるチューニングがユーザーに委ねられている訳ですが、今回は音質に大きく影響があるのではないかと皆思いながらもナカナカ手が出にくいトーンアームの音への影響を検証することにしました。10/15(金)の
真空管アンプ一本勝負でその音の違いを実際聴いて頂くことが出来ます。

ターンテーブルはラックスマンPD-171Aを二台。一台は標準仕様アーム。もう一台はトーンアームSAEC WE-4700です。アーム以外の条件はまったく同じにして客観性を担保しています。
希望小売価格(税別)¥1,190,000(2019年4月発売)

カートリッジは
トップウイング「青龍」(税別) ¥750,000を用意し万全を期しています。アームの違いはどんなところに現れるのか…多くのオーディオファンにとっても経験のない出来事といえるのではないでしょうか。フォノイコライザーは
SV-310EQです。
収録にはサエクコマースの北澤さんにお越しいただきWE-4700の技術的ポイントと共にその音を検証しています。WE-4700最大の特徴ともいえる”ダブルナイフエッジ”は針先の振動を最も正確に受けとめるかという点において理想的な機構である、というサエクさんの主張を実際の音で確認できるまたとない機会です。
個人的にはその差は低域に如実に現れたと感じています。締まりながらもローエンドまで伸びて膨らむことのない低域…この感覚こそがダブルナイフエッジの真骨頂と言えるかもしません。今回試聴に選んだソースはどれも高音質かつ音楽的にも魅力あるものばかり。ぜひオンエアでハイエンドアームの魅力を体験して下さい!