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Brimar CV4003/12AU7の選別プロセス

ゴールデンウィーク直前になって休み前に受け取りたい(出荷したい)気持ちは皆さんも私どもも同じ。お休み中にStay Homeで色々とやりたいと思っていらっしゃる方も多いでしょうからスタッフもギリギリまで頑張っています。

そんななか私は遅れていたBrimar CV4003/12AU7の選別に追われているところ。Brimar 12AU7/13D5が早々に完売という状況のなかでUKに在庫がないか、いろいろとあたった結果、意外やBrimar CV4003があることが分かって直ぐに手を打ったのです。CV4003は言わずと知れたSpecial 12AU7。元々民生用途の真空管ではないので馴染みは薄いかもしれませんが、Mullard CV4003/M8136辺りは一本150ドル以上の相場で取引される人気球です。

思ったよりも入荷に時間がかかった関係で、このタイミングで選別をやっているところですが、真空管の選別というとどんなことをやるのだろう…と思われる方も多いかもしれません。私も他社さんがどういう選別を行っているかまでは詳しく知らないのですが、今日は当社流の選別プロセスを少し書いておこうと思います。

1. 受入検査

まず海外から入った状態で受入検査を行います。この作業は外注さんにお願いしており、私どもに入荷する前に規格外の真空管は撥ねて頂いています。ご存じのように真空管には特性上のバラツキがあり、エッジサイド(裾野部分)特性の真空管は電気的には問題なくてもアンプでは電流が流れ過ぎたり流れなかったりするので、最初から良品判定をしないようにしています。

2.直流的選別(その1)

外注さんで試験に通った真空管が入荷すると私どもで実際一本づつ再確認します。まずGm(相互コンダクタンス)が”棄却値”(Critical Value)をクリアしているかどうかが第一関門です。Gmというのは分かりやすく言うと”ゲイン”(利得)。厳密には選別というよりも「使えるタマか使えないタマか」を再確認する工程で動作条件も通常よりも低めです。

棄却値というのは簡単に言えば”この値以下だと使えませんよ”という値で、よく真空管屋さんが使っているTV-7/Uという選別機は米軍が朝鮮戦争時にタマが使えるか使えないかを簡易的に検査するために使用したものです。私どもではWestern ElectricがHICKOK社に作らせたKS-15750-L1でGm測定を行い記録しています。
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KS-15750-L1 for Western Electric (比類なき透明感! Brimar 12AU7より転載)

Gmはどのような増幅特性を示すかの根拠となる重要なパラメータです。特に12AT7/U7/X7のような双三極管は管内に二つの三極管が封入されているので、その2ユニットのGmが近似していることが望ましいことからそれぞれ測定します。
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ごく一部ですが測定結果。低いもので700, 高いもので1500。ひとことでいえば倍も違うという訳です。大切なことは絶対値よりも複数本使う場合は近似したものをマッチドで使うことです。必ずしも高いものが良いという訳ではありません。

3. 直流的選別(その2)


KS-15750-L1 で測定された値は実際のアンプでの動作条件とはかなり異なりますので、次のプロセスでは実際にアンプに一本づつ挿して動特性を確認します。今回は12AU7ですのでSV-192Sで動作させながら更に選別精度を上げていきます。実際外注さんで一次選別を通った個体でも私どもの直流的試験(1~2)で選別落ちする個体もわずかながら存在します。
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4.交流的選別

ここまでの試験は動特性の確認だった訳ですが、ここからは測定+耳の両方で確認が必要です、交流的試験はノイズ選別というと分かりやすいかもしれません。直流的にはOKでもノイズが出てはアンプでは使えませんから、この交流的選別は特にヴィンテージ球では必須の作業の一つといえます。

今回はSV-192SにCV4003を実装し利得40dB程度(約100倍)の試験用アンプに接続。フルボリュームでノイズをモニターしながら波形観測も行います。通常では決して聴こえてこないノイズを聴こえる音量まで増幅して確認することで販売の可否判断を行う重要なプロセスです。
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これがノイズ波形の一例ですが、どんな優秀な真空管でもノイズがゼロということはありません。最初はガサガサ,ゴソゴソいう真空管でも20~50時間程度通電することで多くが30%~50%のノイズ低減を示すものです。いかに初期エージングが必要かが分かるのが交流的選別です。

その他、通電中の真空管を指で弾いてマイクロフォニックノイズ(共鳴音)の量や誘導ノイズ(動作中の真空管に手を近づけて現れるノイズ)の増減を確認します。ここまでやって合格した真空管が晴れて皆さんに向けて出荷できるという訳です。

…と様々な作業を経て初めて販売ということになる訳ですが、これは私どもが海外から直輸入する真空管に関して行うもので現行球に関しては輸入代理店さんが、それぞれのルールで選別を行ったものが当社に入荷していますのでご安心下さい。
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これが直流的選別(特性確認)+交流的選別(ノイズ確認)を経てマッチドペアとして販売されるBrimar CV4003(ビッグロゴ)。価格は一本8800円(税込)~三本マッチド28600円(税込)です。発送はGW後(5/10~)を予定しておりますが、受付開始は早ければ明日(4/28)じゅうにスタート出来ればと思っております。数量が限られておりますのでお早めにどうぞ!



by audiokaleidoscope | 2021-04-27 23:59 | オーディオ

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