リアル(実体験)が教えてくれること

いまはなんでもネットの時代。その昔、半日かけて図書館で調べても分からなかったことが今や瞬時に労力をかけることもなく目的の情報にアクセスできる時代です。1989年に始まったと言われるwww(World Wide Web)はテキストから画像、画像から動画を経て今後は疑似体験の共有にまで拡がりつつあるのは皆さんご存知の通りです。

しかし世の中がどれだけ便利になっても実体験を通じてしか経験出来ないことがあるのも事実です。そしてその体験が回り道や苦労に満ちたものほど、その結果には大きな感動が伴うもの。今日もそんなモノづくりの感動が託された写真とお手紙が届きました。

下関のYさん。一度もお会いしたことはありませんが、メールや電話を通じて交流してきた”遠くて近い”大切な仲間の一人です。その交流は単なる情報のやりとりでなく真空管アンプを媒体とした同好の士の交歓ともいえるもので、私どもではYさんだけでなく各地の仲間や先輩たちとああでもない、こうでもない…と喧々諤々の意見交換が日々繰り広げられています。モノの売り買いを越えたお付き合いが出来るのもオーディオという共通の趣味あればこそです。

Yさんは過去何台ものキット製作で腕を磨いていらっしゃいました。今回はその集大成ともいうべきSV-91Bのキット製作に挑戦されるということで事前のご相談に留まらず製作中の状況まで逐一共有しつつ、700kmの距離を介した共同作業のような日々でした。そして今日届いた写真と手紙からYさんの達成感と満足感が伝わってくるようで、私も思わず快哉を叫んでしまいました。

今まで22年余。正直この仕事がこんなに長く続くとは当初は全く予想していませんでした。社内では理解者に恵まれ、同時に多くの素晴らしい仲間(お客さん)との出会いや交流があったからこそ続けさせて頂けたと思っています。そして明日からも創業の日の感謝を忘れず、Yさんのような素敵な仲間が一人でも増えるように頑張っていきたいと思っています。私どもはここから始まった…1999年当時の無線と実験の1/2ページ広告。スピリットは現在も全く変わっておりません。