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三代目”TU-8600S”が新登場!

本日、盟友エレキットから「TU-8600S」(300Bシングルアンプキット)の再生産が発表されました。8600シリーズとしては三代目のモデルで、聞けば国内外から旧バージョンを買い損ねたという皆さんからの熱いリクエストによるリバイバルとのこと。メーカー冥利につきるエピソードですね。製品詳細はメーカーリリースをご参照ください。
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少し補足しておきましょう。旧バージョンからの変更点の有無について皆さん気になるところだと思いますが、保護回路,300Bプレート電流の制御方法等の小変更が主で、アウトラインは基本的に同様と考えて差支えありません。

一点カップリングコンデンサーが0.22uFから0.1uF(4個)に変更されていますが、この点について設計者の見解を質したところ、旧バージョンでは低域レスポンスが数Hzまで伸びていて、例えば皆さんがLPを再生する際、針先が盤面をヒットする瞬間等にウーハーが前後にふらつく現象を回避するためとのことでした。

これは私どもでも時々ご相談を頂くことなのですが、出力トランスの裸特性が良(過ぎる)ことが逆にお客さんの心配の種となるケースです。低周波の大きなエネルギーをカットオフ周波数を上げることで対策するというのは極めて合理的な手法であり、音質を犠牲にせずに安定性を向上させているメーカーの意図は充分に理解に値するものです。

では早速音質の確認を行っていきましょう。以下TU-8600R(前ロット)をTU-8600S仕様に改変して試聴に臨んでいます。
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その昔、管球アンプファンが最後に目指すと言われた300Bと845。その300Bが今や最初の真空管アンプが300Bという方も少なくないご時世です。昭和の頃は6BM8とか6BQ5(EL84)辺りのシングルから皆始めたもの…あこがれの300Bアンプがこんなに身近になっことを共に喜びたいと思います。

私どもではTU-8600Sに4つのバージョンを設定しました。

1 真空管なし (メーカー標準仕様)
2 梅セット [JJ ECC83(1), JJ ECC82(2), PSVANE 300B(ペア)付属]
3 竹セット [Gold Lion ECC83(1), Gold LionECC82(2), Prime 300B ver.4(ペア)付属]
4 松セット [Gold Lion ECC83(1), Brimar 12AU7(2), PSVANE WE300B(ペア)付属]
※オプションとして
Arizona Cap. 0.1uF(4)を推奨

以下 それぞれの音質をレビューしていきましょう。
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梅セット [JJ ECC83(1), JJ ECC82(2), PSVANE 300B(ペア)付属]

最も身近な組み合わせとなる「梅セット」です。強力なドライバー回路によって300Bらしい厚みと中低域の量感を存分に味わって頂くことが出来ます。音楽ジャンルを選ばず楽しめる十分なクオリティです。
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竹セット [Gold Lion ECC83(1), Gold LionECC82(2), Prime 300B ver.4(ペア)付属]

続いて「竹セット」は電圧増幅段がGold Lion, 出力管がPrime 300B ver.4の組み合わせです。重心が下がり中高域のエッジも明晰。分厚く熱気のある音がグイと前に出る感覚です。ジャズ, ロックファンの方や大口径ウーハーを300Bシングルで鳴らしたい方にぴったりと言えましょう。

ここでカップリングコンデンサーをArizona Cap 0.1uFに換えてみます。歴代の8600シリーズ同様カップリングコンデンサーをアップグレードすることが半ば前提となっている基板設計で、言い換えればそれだけ効果も大きい事を開発陣が分かっているという証左でもあります。ちなみにキット標準のカップリングはこれ。歴代8600シリーズで半数以上の方がカップリングをアップグレードされている事実からも、ここは要対策ポイントとしてマークする必要があります。
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※基板は旧バージョンを流用しておりますがカップリングコンデンサーの方向性に変更はありません

注目すべきはサボテンマークの向き。巻き終わり側(Outside Foil)がグリッド側ですので実装の際は注意しましょう(写真の基板はTU-8600Rのものを流用していますが8600Sでもこの部分の方向性に変更ないことを確認済です)。交換自体はそんなに大変な作業ではありませんが、コネクタの付け替えやビス類の脱着はかなり煩雑ですので出来れば製作時に換えてしまっておいた方が良いでしょう。
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松セット [Gold Lion ECC83(1), Brimar 12AU7(2), PSVANE WE300B(ペア)付属]

カップリング交換後の「松セット」です。たまたま実験中にショールームに立ち寄られたNさんに梅→竹→松と順に聴いて頂いたのですが、松の圧倒的な音質は別格とでもいうべきものでした。Arizona Cap.による深々と沈み込みながらも弾む低域, Brimar 12AU7による明るく情報量豊かな高域、そしてPSVANE WE300Bのヘッドルーム(ピークレベル)の高さ…、まさに300Bならではの桃源郷でした。

今回Arizona Cap.は全てのバージョンでオプション(別売)とさせて頂いておりますが、投資に見合う効果が必ずありますので是非併せての導入をお奨めします。今回も限定生産と伺っていますので、お早めにチェックをお願いします。私どもの出荷は9/16~を予定です。どうぞお楽しみに!!


by audiokaleidoscope | 2020-08-06 12:00 | オーディオ

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