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CV4003の終了、そして次のタマは?

SV-192PROが入荷して現在出荷の真っ最中。私は標準球からスペシャル球への差替えならびに調整,検査に勤しんでいるところです。通常はメーカーでやる工程を社内でやる理由が実はあるのです。ついにMullard CV4003が終わってしまい、ご希望のお客さんから手持ち球を支給頂いて私どもで入替,調整をやっているという訳です。
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元々はSV-192PRO最終ロットは標準バージョン(JJ ECC82)とスペシャルバージョン(Mullard CV4003)の2タイプがラインナップされました。約半数がスペシャルバージョンになるだろうと見込み、選別済のCV4003を一定量送って工場で更に実装試験を行って完全な状態で皆さんにお届けしています。

同時にSV-EQ1616Dの新登場やそれに伴ってSV-Pre1616Dの松セットの受注が急激に増えたこともあって、思っていたタイミングよりもかなり早くCV4003が在庫切れとなったというのが実情です。音質的に極めて評価の高い銘球ですので切らさないように探したのですが、残念ながらNOSをまとめて入手できるルートが見つかりません。恐らく世界的に枯渇したといえるのではないか…そんな印象です。

ちなみに差替えといっても単にタマを入れ替えて音が出ればオッケーという単純なものではありません。ゲイン調整に始まってメーター感度調整, 残留ノイズ測定, 聴感ノイズ検査, エージング…一台一台実機で行う手間のかかる工程です。
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上の写真をつぶさに見て頂くと分かるかもしれませんが標準球をお客様支給のCV4003に差し替えただけの状態で指針位置に僅かなズレが生じているのを確認いただけると思います。まずやるのはSV-192PROの出力に高精度ミリボルトメーターを接続し電気的ゲインを完全に一致させます。次にメーター自体の感度調整そしてノイズ測定とヘッドフォンによる聴感テスト、最後にエージングという順番です。

話が逸れましたが、CV4003の後継に相応しい現在真空管のメドは立ちつつある状況です。幾つか候補は有りますが今のところ一番有望なのがBrimar ECC82/12AU7です。皆さんに正式にご案内できるのは少し先になりますが、価格的にCV4003の半額程度で品質,音質は拮抗するレベルであることをサンプルで確認していますので是非ご期待ください。

Brimar was part of STC(Standard Telephones and Cables) group and founded in 1933 to manufacture American pattern valves for the British market.

BrimarはSTC傘下でUSA規格の様々な真空管をイギリス市場に対して供給した会社です(例:12AX7→ECC83)。STCは英国版電電公社でWestern Electricとも技術交流のあった会社であることは皆さんご存じかもしれません。民生用真空管だけでなく軍用,通信用真空管も手掛けていた歴史ある会社ですのでMullardの後継としても十分なクオリティを有していると言えるでしょう。

いまのところTelefunkenやMullardほど知名度が高くないので比較的買いやすい値段であるというのがポイントのBrimar。EQ1616DやPre1616Dの松セット再開までしばらくお待ち頂ければ幸いです。



by audiokaleidoscope | 2020-05-29 13:19 | オーディオ

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