正確な日にちは記憶しておりませんが、確か4月の初め頃、或るオーディオ評論家の先生から連絡があり”Sさんがアンプを組んでみたいと言ってるんですが何が良いだろう?”という問い合わせをいただきました。その熱意に驚いたものの、最初ということもあり再現性の高いプリント基板アンプを推薦。ベストセラーとして実績のあるTU-8200RsvかTU-8800SVを推薦。一旦はそれで決まりかけたのですが、どうもSさんの反応がはっきりしない。
実はここでトラブル発生。真空管が挿入できないということで画像を送って頂いたら300Bソケットの片方が逆付け。ソケット周りの配線を全部やり直していただく間ずっと家で待っている時は、300数十キロの距離を全く忘れるほどの…まさに一緒に居る気持ちでした。
そして携帯のスピーカーから漏れ聴こえてきた音楽。思わず三人の口から”やったー!”という歓声と拍手が自然と出たのは言うまでもありません。Sさんが記事の末尾に書いている通り「モノづくりは自分づくり、モノづくりは自分との対話」の一週間でした。
このようなドキュメンタリーが全国津々浦々で数えきれないほど展開されてきたに違いない訳ですが、この爆発的な感動あればこそ20数年もキット販売という超地味な仕事を続けてこられたのであろうと思います。
”自分にもできるだろうか?”…そう思っておられる方は実際キットを買われる方の何倍,何十倍以上いらっしゃるに違いありません。まずはSさんのドキュメンタリーを読んで如何にモノづくりが私たちにとって根源的な歓びに直結する趣味であるかを感じて頂ければ幸いです。