これまではEQ1616Dの最大の特徴であるマルチカーブ対応という機能面にフォーカスしてきた訳ですが、今回はRIAAカーブに固定して基本的音質に迫ろうという訳です。

前編では
③松セットその1(Mullard M8137/CV4004)


一本1,500円のJJと数万円のMullardやTelefunkenの価格差=何十倍の音質差とは申しません。しかしながらMullardやTelefunkenは聴感上のダイナミックレンジが広く空気感が豊かで一頭地抜けた存在であることは認めざるを得ません。ヴィンテージを”時間を経てなお価値を失わないばかりか益々その魅力と存在価値を高めている数少ない存在”と定義するに相応しい音質をオンエアで是非ご確認ください。MUSIC BIRDの加入はたいへん容易でその満足度はプライスレスです。

ここでも比較を明示的にするために一旦全ての真空管を梅(JJ)に戻してからカソフォロ段だけを替えていった訳ですが、大きな発見であったのが増幅段(V1/V2)以上にカソフォロ段(V3)による音の変化量が大きかったこと。これは実に意外でありました。実際V1/V2は梅(JJ)でV3のみ松(Mullard)にしただけで素晴らしいバランスの音が出たのです。


EQ1616Dは5V/3Aの整流管ヒーター巻線を持ち、コンデンサーインプット容量が10uFですので5AR4,274B系のほか5R4系,5U4系,GZ37なども問題なくお使い頂けます。個人的には本家ウエスタンは別格としてPSVANE WE274Bが大変良かったですが一本3,000円のSOVTEK 5AR4でも確実に真空管アンプならではの方向性に変わってくれるのでお奨めです。
②竹セット(Solen:フランス)


ここでは事前の予想通りASC X335がダントツのパフォーマンスを示しました。


井筒さんが最後に、真空管一本、パーツ一個でこれだけ音が変わるということに改めて驚いたというようなことを仰っていましたが、プリやパワー以上に敏感なフォノイコライザーの奥深さを改めて感じた…そんな今日の収録でした。