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「ハース効果」検証中

今日は最近試している実験的再生方法について、まだ道半ばの部分もありますが少しレポートしておきたいと思います。
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これがプライベートのオーディオ環境(近影)です。写真ですと分かり難い部分もありますが、ごく簡易的に平面図に落としてみました。
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画像クリックで拡大

長辺方向が7.2m(四間),短辺方向が3.6m(二間)という空間で、本来は長辺:短辺の比は整数倍にすべきでないという教えに反した凡そオーディオルームに相応しくない空間です。加えてメインで使っているオートグラフのL/Rがかなり離れているので少しでもオフセンターになると定位がおかしくなるという神経質な側面も持っていて”何とかしなければ…”とずっと思いながらレイアウト変更が出来ずに放置してきました。

そんな状況のなか、しばらく前からサブスピーカーとしてマーティン・ローガンのCLSというコンデンサースピーカーを導入していてTPOに合わせてメインとサブを鳴らし分けていた訳ですが、偶然読んでいた論文の中で”ハース効果”(Haas Effect あるいはPrecedence Effect)について知る機会があり、実験したところ非常に興味深い結果が出ました。

そもそもハース効果をWikipedia的に解説すると「同じ音が複数の方向から聞こえた場合、早く到達した音の音源方向に定位が偏って聞こえる現象」ということになります。分かりやすく言えば私たちが音の方向性を感知できるのも左右の耳(鼓膜)へ音響エネルギー(振動)が伝わる僅かな時間差を脳が検知して、私たちはどの方向から音が出ているか理解できているといえます。つまり私たちは音のトランジェント(立ち上がり)に関して非常に敏感なのです。

具体的にはこういうことです。皆さんがメインに大型スピーカー、サブに小型のフルレンジをお持ちという方も多いことでしょう。実際にやっておられる方もいらっしゃるかもしれませんが、試しにメインとサブを同時に鳴らすと定位がビシッと出てメイン単独よりもパラレルドライブの方が音が全然良かったという経験をされた方がいらっしゃるのではないでしょうか?

幾つかの条件は揃わなければ逆効果となるリスクもはらんでいますが、現在オートグラフとCLSのパラレルドライブによってそれまで拡散気味であった音の定位がかなりセンター側に修正され前後感も出て、少なくとも私の環境では元に戻せないという状況です。

必要条件としては

・メインとサブの位相関係が揃っていること
・メインに対してサブの能率が10dB程度低いこと
・サブ側のトランジェント(音のスピード感)がメインよりも速いこと


が極めて重要という結果です。改めて上の平面図をご覧頂きたいのですが、メインからリスニングポイントまでは約440㎝、対してサブからリスニングポイントまでは304㎝に調整済です。これは偶然ではなく1kHzの一波長=34㎝のちょうど4波長分の距離差であり、少々大袈裟な言い方ですがミリ単位で位置関係(位相関係)を追い込みました。これが少しでもずれると干渉が生じ音の輪郭に滲みが現れたり周波数特性にうねりが生じて音質云々を語ることが出来ない単なるギミックでしかなくなります。

もう一つ重要なことは普通に音楽を聴いているとき、サブ側の音は全く感知できません(というか鳴っている事が分かるバランスでは逆効果)。言い換えれば鳴っているが誰も気付かないという状態です。当方の環境でいえばオートグラフの実能率が96dB,M・ローガンは85dB(on axis; w/m)であり、SV-192A/D(プリアンプ)の2系統のプリアンプから同程度のゲインを有する2台のパワーアンプをメイン/サブそれぞれに使用しています(1台のパワーアンプでメイン/サブをパラっても理論上は問題ないものの、アンプからみたスピーカーの合成インピーダンスが著しく下がることでアンプの負荷が大幅に変動し要注意です)。

更に言えばサブ側に音の立ち上がりの良いスピーカーを用意するのもたいへん重要です。多くのケースにおいてサブ側の口径がかなり小型化することになりますから問題とならない事が多いと思いますが、サブ側にヴィンテージ系フルレンジでトランジェントよりもコクを重視した表現の場合は上手くいきません。

要約するとメインが大型で高能率、サブが小型でハイスピードで位相差が出ないセッティングが可能なら多くの場合で素晴らしいハース効果を体験できる可能性があります。単に音の方向感に作用するだけでなく音場的再生に対して強力な武器となる一方、上手く追い込めないと逆効果となる場合もありますが、だめなら元に戻せば良い訳でチャレンジの価値は大いにあるといえましょう。

どのオーディオ雑誌にも書かれたことがない邪道な再生法ではありますが、面白がり精神の発露としてご紹介させて頂きました。ご参考になれば幸いです。


by audiokaleidoscope | 2019-10-19 23:40

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