

2. オペレーション
以前私どもでもSV-128Bという多極管シングルのフラッグシップモデルが存在しました。KT88で15W/ch以上,KT150でなんと25W/ch以上というシングルで驚異的な出力を叩き出したモデルです。

加えて特筆すべきはTU-8800が使用するビーム管,五極管に合わせ最適な動作条件(HIGH/MID/LOW)を選択できるようになっているところ。これによりメーカー公表ベースで21種類もの出力管を無調整で差し替えができるところが画期的です。過去1機種でこれだけのコンパチビリティを標榜したアンプは世界的にも例がありません。
加えて出力管の動作も”UL”(Ultra Linear) と”TRIODE”(三結)が選択できるところもユニークです。簡単に言えば1台で3×2=6通りの動作条件をアサイン出来るという訳です。

ちなみに出力段の動作条件は従来の多極管シングルとやや趣を異にしています。一般的にはプレート電圧=400V程度, プレート電流=65mA程度辺りが多い訳ですが、TU-8800ではKT88で
MODE(HIGH):プレート電圧325V, プレート電流90mA →出力12.5W(UL)
MODE(MID):プレート電圧245V, プレート電流90mA →出力6.8W(UL)
MODE(LOW):プレート電圧260V, プレート電流50mA →出力4.5W(UL)
というデータが得られています。いわゆる低電圧大電流型のアンプと言えるでしょう。これに対し異常電流を検出時の保護回路はもちろん万一異常な温度上昇に備えてPTC(リセッタブルヒューズ)をA/B/C各電源に装備しているところも他メーカーの追従を許さないところです。
つまりTU-8800は現代スピーカーに相応しい大出力(ドライブ力)とシングルアンプならではの瑞々しさに加え、煩雑な調整が不要で且つ極めて使用上のリスクの低いアンプと言えると思います。
明日はいよいよアンプ内部の観察と皆さんが最も関心をお持ちの音質についてレヴューしていきます。加えて私どものスペシャルバージョン”TU-8800SV”についてもお知らせ出来るところまで公表させて頂きたいと思います。是非お楽しみに!
※本ポストの画像,内容はイーケイジャパン(エレキット)のご厚意により発売前に掲載の許可をいただきました。この場をお借りし御礼申し上げます。