私はと言えば、実は先日の出張中に不覚にも古傷の腰痛が悪化し後半は当初のスケジュールで動くことが出来ませんでしたが最終日の今日、京都のTさんが愛用のスピーカー持参で会社にいらっしゃいましたので今日はその事を書いておこうと思います。
先日”ウレタンエッジの功罪”というポストのなかでこんな事を書きました。


青い楕円で囲んだ部分を注視して下さい。80Hz以下の帯域で明らかな差異が認められるのに気づかれるのではないでしょうか。グラフのY軸(縦軸)のひと目盛りは10dBですから如何に両者の差異が大きなものであるかにお気づき頂けると思います。帯域によっては実に10数dBの音量差が生じています。
かつてこんなこともありました。いまから10年ほど前、WE755Aのレプリカを手掛けようとしていた時のことです。オリジナルをベンチマークするのは当然としても作られて半世紀以上経っている個体をリファレンスとして良いのか…という迷いがありました。更に言えば個体差(周波数特性だけでなく能率差)も大きく何が正しいWE755Aの音なのか分からず逡巡していた時、ある有名なヴィンテージオーディオマニアの方が完全未使用(NOS/NIB)のWE755Aを複数持っているので、それを評価用に使ってみてはどうか?という大変有難い申し出を頂きました。
その後も同じような事例にたくさん遭遇してきました。そして時にはアンプに対しての疑義に繋がる不幸な場合もなかった訳ではありません。繰り返しになりますがオーディオ機器は”使ってこそ”その魅力を長く保持できるもの。Tさんのスピーカーは40Hz~120Hzのワーブルトーンでかなり大きなパワーを入れて強制的に長時間エージングすることでかなり状況は好転する筈。しばらくスピーカーをお預かりすることにしました。多少なりともウーハーが動くようになって以前のように良い音で音楽を楽しめるようになってほしいものですね。