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「引き算オーディオ」へのアンチテーゼ

35度超えの酷暑の今日、予定されていたマルチシステムのインストールが無事おわりました。
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120キロのスピーカーが2台。3ウェイマルチアンプシステムを構成するアンプや周辺機材,ケーブルなどでワゴンは一杯です。納品先のHさんのオーディオ仲間の皆さんが加勢して下さったので本当に助かりました。
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H邸に到着し24畳のリスニングルームに仮置きされたスピーカー。アンプ群との結線と極めてデリケートな調整作業が始まります。デッドなショールームでは2405(ツィーター)は外側でしたが、部屋の反射や回折による影響を回避したい場合は内側という選択も有り得ます。今回はHさんのご希望で2405は内側。結果的には正解だったと思います。
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マルチアンプは音を聴く環境によって調整を最適化できることがメリットでもあり逆に言えば最も難しいところでもあります。今日を迎えるまでHさんに3回ショールームにお越し頂き様々なアンプの組合せ,バランスを聴いて頂きました。その過程は最適な調整を行うという客観的な作業ではなくHさんの求める音色,表現に私が寄り添う過程だったと言ってもいいかもしれません。その経験もあって今日の調整は極めてスムーズでした。

低域,中域ともに300Bプッシュプル。ウーハー2235Hから低域の立体感を引き出すためLOはSV-284Dをブースターモードで加えています。HIはSV-2500SE(PX25パラシングル)で情報量と繊細感の両立を目指しました。
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今回の調整の中核となったSV-86B。トランスドライブならではの密度感あふれる表現はJBLユニットを使いながらクラシックファンに愛好家の多いBWLの持ち味を引き出す為に必然の選択でした。
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セッティングの一部始終をご覧になっていたHさんのオーディオ仲間でもあるSさんとKさんは、そのプロセスを見て何を感じられたのでしょうか…オーディオが決してフラットネスを以て最良と為す趣味ではないこと、家全体に振動が響きわたるような音量から食事の会話をスポイルしない音量でも変わらないバランスのための各ユニットとアンプのマージ。その過程はオーディオの無限の可能性を感じたひと時だったかもしれません。

Hさんのチャレンジはまだ道半ば。今日のインストールには間に合いませんでしたがプリがSV-310に、中域パワーはLM91Aにグレードアップが決まっています。更に2405の上に20kHzクロスでセラミックツィータを加える4ウェイ化も視野に入っています。

1990年代以降、オーディオは引き算主体で動いてきました。”Straight Wire with Gain"(=アンプはゲインを持ったケーブルの如き無色透明な存在でなくてはならない)という考えに傾いたのもこの頃。スピーカーもエンクロージャーの振動を抑える、ネットワークを複雑にしてユニット間の位相差を極力なくす…余分な何かを除くことによって現れる(と考えられた)ピュアさと引き換えに音の躍動感や鮮度感を得ることがどんどん難しくなると同時にアンプは小型金庫のように大型化の一途をたどりオーディオの価格はゼロが一桁いや二桁足される結果になりました。

マルチが流行ったのは今から30年近く前。今から再び陽の目を見ることは有り得ませんが、マルチによって得られる音の魅力の一端を後世に遺したい…そんな気持ちで臨んだ今日のインストールでした。Hさんには末永くご愛用頂ければ幸いです。



by audiokaleidoscope | 2019-08-11 21:52 | オーディオ

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