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達人編~真空管マルチアンプにトライ~

本を読んで下さった方から今のところ一番反応があるのが「PART1 ここから始める真空管アンプ達人への道」そして「PART3 いまさら聞けない真空管・オーディオのギモン」。いずれも今までこの仕事に携らせて頂いて多かった相談や質問をまとめたものになっています。

PART1では初級~上級×音楽ジャンル別で全7類型に分類して解説しているのですが、実はそのうえの”達人”クラスというものも存在します。その一つが”全帯域真空管マルチアンプドライブ”です。
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そのケーススタディがまさに今ショールームで行われています。このスピーカーはJBLユニット+国産箱の3ウェイスピーカーですが、通常複数のユニットで構成されるスピーカーには必ず内蔵されている”クロスオーバーネットワーク”が付属していません。2017年10月投稿の記事の3枚目の写真が写真がネットワークの一例です。

クロスオーバーネットワークは帯域分割とレベルのマッチングならびに位相整合を図ることで一台のアンプで複数のユニットを適切に駆動するための極めて重要なユニットであり、言い換えればスピーカーの心臓部な訳ですが、マルチアンプドライブでは帯域分割用のチャンネルデバイダーとユニット分のパワーアンプを自分で用意し最適な音質とバランスになるように自らの経験と感性でバランスさせる必要がある極めてレベルの高い作業が必要となります。

例えばシャーシとエンジンとサスペンションとトランスミッションが無数にあって、”このシャーシに最適なエンジンと足回りとトランスミッションを自分で組合せ市販車を超えるパフォーマンスを引き出してごらんなさい”と言われたら皆さんは自信がありますか?

オーディオは自分の為(だけに)存在するものだから自分が良ければそれでいい、というのは確かに一理ありです。一方で如何にオレ流が許されようとも基本的なバランスを欠いた組合せに高いパフォーマンスは望むべくもありません。エンジンだけ強力でも、それを引っ張るトランスミッションと、それを支える強靭な足回りが高いレベルでバランスして初めて良い車が出来るのと同じ。これまで様々なシチュエーションでマルチを実践されている方の音を聴いてきましたが、ビッグなマルチウェイスピーカーと何台ものアンプを積み上げることで半ば目的が達せられた感じで、肝心な音は独り善がりのおかしなバランスで鳴っているケースが大半でした。無限とも言える組合せパターンのなかで最適な組み合わせを見つけるのは至難の業です。
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最適なバランスを達成するために集められた各種アンプ。三極管,多極管,シングル,プッシュ…ありとあらゆる形式からアンプを選択する自由と言い換えれば泥沼性が待っているという訳です。

このスピーカーには専用のチャンネルディバイダーが付属していますので帯域分割周波数は事前に決められていますし、遮断特性(オクターブあたりの減衰率。たとえば-18dB/oct.)もフィックスされています。これだけでもかなり作業は軽減されます。もしチャンデバを自分で用意する場合はクロスオーバー500Hz(ローパス-18dB//ハイパス-12dB)/7kHz(ローパス-12dB//ハイパス-6dB) あたりからトライする形になると思いますが、この専用チャンデバは仕様未公表ながら-6dB/oct.のCR型ということのようですから電気的にはチャンデバというよりもトライアンプ用外付けクロスオーバーネットワークと言う方が正確でしょう。

ちなみに-6dB/oct.のスロープというのは各帯域の混じり合う帯域がかなり広いので選択するアンプの音の繋がりが良いものでないといけません。PA用のマルチシステムに使用する-24dB/oct.のチャンデバのようにスロープが急峻な場合は各帯域に最も相応しいアンプさえ見つかれば良い結果が出るのですが、-6dB/oct.の場合たとえば低域アンプの音がかなり中域にまで影響を及ぼすことになりますし、同時に中域アンプの音が高域にまで重なってきますので相当の勘と経験が必要になると思われます。

かれこれ一週間、いろいろ弄ってきた感じでは

1)クラシック/ヴォーカル中心

プリ: SV-310
低域: SV-86B(300Bプッシュプル)+SV-284D(ブースターモード)
中域: SV-91B(300Bシングル)
高域: VP-2500SE(PX25パラシングル)

2)ジャズ/ロック中心

プリ: SV-300LB
低域: SV-8800SE/KT150(KT150プッシュプル)
中域: SV-P1616D/300B(300Bプッシュプル)
高域: SV-284D(845シングル)

で理想的なバランスが得られていますが特に中域レベルのフィックスは指の皮一枚レベルで調整が必要で、まさにオーディオの究極の面白さがマルチにあるかもしれません。

このスピーカーはいずれお嫁入りする予定で既に複数の方が手を挙げておられるのでマルチの音を体験したいという方はお早めにご連絡頂ければ幸いです。通常のネットワーク仕様のスピーカーと比べて一皮も二皮も剥けた鮮度の音を体験して頂けると思います。



by audiokaleidoscope | 2019-07-23 23:59 | オーディオ

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