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TU-8150SVの製作

令和最初の今日はTU-8150SV組立の機会に恵まれましたので、そのプロセスを写真で追ってみたいと思います。

残念ながらTU-8150(同SV),TU-8200(同SV)ともメーカーレベルでは既に製造完了。TU-8200は後継機の発表がされましたがTU-8150は現在庫限りということで姉妹機(当社専売)TU-8150SVも残り僅かという状況です。今日のポストがこの優れたアンプの記録と記憶の一助となれば幸いです。

スケジュール的に今日一日で完成マストという状況でしたが実働4時間程度で完成しました。初めての方でも集中して取り組めば一日で組立できる初心者向けキット。SVバージョンは6V6が標準装備されていますので十分実用になるスペックと音質です。今回の製作では幾つかのグレードアップも行っていますので参考になさって下さい。
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エレキットならではの1枚基板。板チョコのように幾つかのユニットに折り分けるというユニークな考え方です。版下が一つで済みますのでコスト的にも有利ですね。
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これが基板を折り分けた後。出来ればヤスリで断面をきれいにしておきましょう。
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これもエレキットの合理主義を端的に示す一例と言えるでしょう。実際使う基板ユニットを用いて40ピンの連結ピンヘッダーを8ピン×5に加工するアイディア。コロンブスの卵的アイディアです。
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早速製作に掛かっていきます。まずは抵抗の取り付けから。カラーコードが読み難くなってきている私ども世代の方は面倒でも抵抗値を実測して万全を期すことをお奨めします。

製作経験のある方はご存じですがカラーコードが半透明で抵抗本体の色と重なって見える為、例えば青が紫ががって見えたり緑が青っぽく見えたりして混乱される方が稀にいらっしゃいます。あとで”しまった!”ということにならないためにもデジタルテスターを活用しましょう。上の写真は4.7Ω抵抗を実測しているところですが数%の誤差があるのが普通で、それによってアンプの特性が偏移することはありませんのでご安心下さい。
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ついでにお節介をもう一つお許しいただくとハズキルーペがあるとスピードはもちろん仕上がり的にも大きなメリットがあります。イモハンダやハンダブリッジのチェックにも効果覿面で初めてこれを使った時は感動的でした。視力に合わせて倍率も選べますので是非アンプ製作を志す方にお奨めします。
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マニュアル通りの順序で1/2W抵抗から実装していくわけですが、私の場合はまず全ての抵抗を基板にとりつけてからハンダづけします。人間は往々にして間違いを起こすもの。途中で抵抗の位置(値)違いに気づいても後の祭り…にならないように気を付けたいものです。なお本キットでは2W抵抗のみ基板に密着させないよう指示されていますが、これは放熱促進のためです。
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抵抗のハンダが終わったらダイオード類です。ダイオードにはK(カソード)とA(アノード)があり取付方向が決められていますので基板のシンボルとマニュアルに注意して実装します。K側に線が入っていると覚えておくとよいでしょう。
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続いてオペアンプ用のソケット。これも方向性があります。ハンダ面の画像が不鮮明ですが、この部分のように被ハンダ部分が近接している場合は短絡(ハンダブリッジ)が起きないよう十分注意します。
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この4極ミニジャックは表面実装タイプ。真空管アンプキットでは殆ど使われることのないパーツです。恐らく通常の基板タイプの調達が困難だったのではないかと思います。真空管アンプで使うような機構部品や端子類はどんどん製造中止になってどのメーカーも頭を悩ませているのです。
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続いてFETですが基板にネジ留めしてからハンダづけします。順序を間違うとビス穴がずれて厄介です。
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これはPCBターミナルと呼ばれる部品で何という事はありませんが、ハンダの際にターミナルに水平が出ていること(斜めになっていないこと)を確認しておきましょう。後でフロント部の基板がうまく付かない、なんてことも有り得ます。
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続いてピンソケット,コネクター類のハンダづけですが、相手が樹脂ですので長時間コテを当て過ぎると変形して接触不良を起こすことがありますのでサクサクと作業を進める必要があります。
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この類のパーツもブリッジに要注意ですね。
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ついでボリューム,三極標準ジャック,RCA入力ジャック等のハンダづけです。ここも水平確認を忘れずに。
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次はフィルムコンデンサーの実装です。一番下の写真のカップリングコンデンサーは音質に大きな影響を与えますので最初からオイルコン(0.1uF)に替えておきます。
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続いて電解コンデンサーです。これは取付極性がありますのでしっかり確認してから実装して下さい。写真の220uF/35Vは低ESR(等価直列抵抗)品でエレキットが要所要所に良いパーツを採用していることが分かる一例です。
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出力トランスも基板上にレイアウトするのがエレキット流…という訳ではないと思いますが、伝統的な真空管アンプでは採用されることのなかった実装法です。もちろんこれで何らかの不具合が発生することはありません。
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スピーカーターミナルも基板直結。徹底しています。
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電源トランスを除いた基板へのパーツ実装が終了。作業開始から約2時間というところでしょうか。何も速いことが良い訳ではありません。昔から何事も最も重要なのは正確性、正確に出来るようになったらスピードアップ、スピードが上がったら美しい仕上がりを心がけなさい、と習ったものです。どれだけ時間がかかってもよいので確実にハンダづけすることを優先しましょう。
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書き忘れていましたがカップリングコンデンサーと並んで本キットの音質向上のポイントはオペアンプの交換です。今回は真空管アンプの音色とのマッチングを重視し、FET入力のMUSES8920に替えています。
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だいぶ先が見えてきました。本キットは出力管2種類が使えます。一つは6AQ5(MT7ピン),SVバージョンでは6V6(US8ピン)と種類の異なるソケットを使い分けることが出来るようにソケットを脱着式の基板化して差し込んで使うようになっています。これも従来の真空管アンプでは例を見ない考え方ですね。
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ACインレットや電源スイッチなどを取り付けたあと電源トランスを実装します。重量物ですので固定も盤石にしておきましょう。
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ちなみに本キットでは出力管の動作モードが3種類から選べます。五極管接続(ペントード), UL接続, 三極管接続から任意に選択可能で且つジャンパー方式ですので一瞬でモードチェンジが可能です。それぞれの音の違いを経験するのは大変意味のあることですが。基本は出力を落とさずに高音質を楽しめるUL(Ultra Linear)。最初はこの位置をお奨めします。
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リアパネルを固定し、さきほど作ったソケット基板とトランスからの配線をコネクターに差し込めば、回路的には完成です。組立マニュアルでは直ぐにケーシング工程に入っていますが、私は動作確認と測定を先に行うことにしました。
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これをやらずして完成は有り得ない重要な工程である電圧測定。標準値から10%程度のずれは問題ありません。二次側電圧は全てAC一次側電圧の影響下にありますので一次側電圧も併せて測るクセをつけたいものです。
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電圧がオッケーだったので波形観測を兼ね小出力で少しバーンイン(慣らし運転)。音が落ち着き残留ノイズも下がってきます。本当は20時間くらいやるとベターですが、このアンプは最初から良い値が出たので早速スピーカーをつないで鳴らしてみることにしました。
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実測約3Wでパワー感全開!という鳴り方ではありませんが6V6ならではの癖のなさと繊細さを感じるニュートラルな表現です。カップリングコンデンサーとオペアンプ交換の効果も十分。しばらく鳴らし込んでケーシングに移ります。
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底板にゴム脚をつけてアンプユニットをシャーシに固定します。
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コーションラベルを貼り付けて完成!日ごろ手配線ばかり触っている方には少々物足らないかもしれませんが、完成の感動は何度味わっても格別なものです。
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自分のアンプより頼まれて作ることがほとんどですが、いつも作りながら思っているのは「このアンプを使って喜んで頂けるかなあ」という気持ちのみ。短い時間でしたが心込めて楽しく製作させて頂いたTU-8150SVでした。



by audiokaleidoscope | 2019-05-01 23:59 | オーディオ

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