プッシュプルアンプ一本勝負!
2019年 03月 27日
前回の振り返りになりますが、シングルアンプを使う最適環境として

また”大は小を兼ねる”という言い方は趣味のオーディオには似つかわしくありませんが”最初からプッシュプルを選んでおけば間違いないよね”という方も事実かなりおいでです。真空管アンプ市場全体を俯瞰的にみると最も出荷数量が多いのは下に出てくる”多極管プッシュプル”カテゴリーであるというのも頷けるお話です。


ひとことで言えばシャープネスの高い締まった音でスピーカーをきちっと制動する力があるのが多極管プッシュプルの真骨頂。ただし多極管プッシュプルにも五結,UL,三結という出力段の動作に違いがあり、それぞれの得失があることを知っておかねばなりません。当社では出力と音質の両立を狙ったUL(ウルトラリニア)動作を基本としています。また最大出力の約50%(常用出力範囲)でのA級動作を前提とした設計をしています。

SV-P1616Dで最も人気があるのがこのKT150仕様。出力が伸びるだけでなく若干クールさが目立つ多極管の中にあってKT150の中域の厚みとある種の柔らかさが最大の魅力です。
そんな中で代表的な2種類の300Bを用意しました。

ガラスを薄くしたたこと、フィラメントのフック形状をウエスタン300Bと同じ釣竿型とした結果、聴感上の高域レスポンスが伸び音場表現が格段に向上したPrime300B ver.5を搭載したバージョン。300Bならではの倍音感に涼やかさと繊細感を加えた表現が女性ヴォーカル,クラシックファンに人気です。

最後は現在求め得る最も優れた300Bの代表格としてPSVANE WE300Bを奢ったバージョンで試聴。アンプ本体よりも出力管の方が遥かに高価という組み合わせですが、そこはWE300Bという名に恥じぬ美音を聴かせてくれました。繊細にして芳醇。極めて情報量が多いだけでなく全帯域を美しい倍音のヴェールが被っている感覚のスウィートさが白眉でありました。なかなか本家ウエスタンの再生産が進まないなか、まだ暫くはPSVANE WE300Bの牙城が崩れることはなさそうです。
真空管アンプは敷居が高い…分かり難いという方も、第三回 シングル編、そして第四回 プッシュプル編を聴けば真空管アンプの第一関門をらくらくクリアして頂ける筈。是非オンエアでお会いしましょう!