




ダイレクトラジーター×2,ホーンドライバー×2という混成で且つ4ウェイという規模。15インチ(38㎝)ウーハーのエネルギーとルームアコースティック(部屋の残響,定在波)との折り合いをどうつけるかが大きな難問であるだけでなく、実際どの帯域を基準にして帯域バランスを決めていいかも分からず、ただ鳴っている…という4344をどれだけ見てきたことか分かりません。少なくともミッドバス以上のアッテネーションが全てゼロ位置ということは絶対にあり得ないスピーカーです。
JBL43系のチューニングについては改めて書いても良いですが、基本は320Hz以下を受け持つウーハー帯域にしっかりとした制動とスピード感があることが第一関門で、あとは低域の量感にバランスする高域のリニアリティと音場感を如何に引き出すかというのが腕の見せどころ。上手く鳴らすと40年前のスピーカーとは思えないPhase-Coherent(帯域の位相が揃って完全な音場再生が出来ている状態)が現れます。
イメージとしては”やじろべえ”。ウーハー帯域とスーパーツィーターのバランスを決めてからミッドバスとその上のドライバー帯域をシームレスに埋めていきます。あとは様々な曲を聴きながら1/4dBレベルでバランスを追い込んでいく…その繰り返しです。4344を”らしく”鳴らすためにはスーパーツィーター(2405H)を通常のバランスよりも0.5dBくらい上げることがミソ。こうすることで低域に大いに効いてキレとスピード感が出ます。最初聴いたSさんの音は50年代のモノクロ映画のような雰囲気であったのがみるみる色彩感と鮮度感が出てSさんもNさんもその変化に驚いておられたようです。

最後はSさんのリファレンス盤で指の皮一枚レベルで追い込み。S邸は低域が長めでかなり難しかったですが良い音が出たと思います。4344で聴くピアノコンチェルトもこれまたオツなものです!
