横浜を出て次なる目的地は滋賀。SV-722EQ(C22), SV-396EQ,SV-8800SE(いずれもスペシャルチューンバージョン)の納品と調整のためです。これで三度目の訪問となるKさん宅に事前に製品を送らせていただき、Kさんともう一人のお客さまであるYさんにもお越し頂いて最終調整 兼 お披露目会となりました。
今回Kさんが導入されたのはSV-722EQ(マッキンタイプ)最後の一台。Kさんにとってはサブモデルでありながらも音の力強さとワイドレンジを狙って真空管はGold Lion ECC83にリプレイス。カップリングは50年代のSANGAMO(サンガモ)のMILスペックのオイルコンとJENSENのハイブリッド仕様。ヴィンテージ的雰囲気と切れの良さの両立を目指しました。
Kさんとのご縁の始まりはこのアンプから…。毎回綿密な打ち合わせと試聴を繰り返して導入するアンプが決まります。
SV-310EQとSV-310。いずれもオールWE仕様です。
ターンテーブルはノッティンガム。
そして今回の納品もう一台は
SV-8800SE/6550仕様。Kさんが注目されたきっかけは確か今年2月の
大阪試聴会だったと記憶していますが、内容的にはスペシャルチューンモデルになっています。
これがシャーシ内部
カップリングはオールJENSEN。ここまではまあ普通です。
Kさんの拘りは初段CV4003に留まらずドライブの12BH7Aのアップグレードにまで及びました。そこで調達したのがCV4068(Brimar:UK)です。このタマについては近日中に改めてブログでガイドさせて頂きますが、12BH7A系のアップグレード球としては最右翼に位置する真空管です。
かくしてKさんのSV-8800SEは力強さに加えしなやかさと繊細感も併せ持った素晴らしい音になっています。実は次号の管球王国でも
SV-S1628DのCV4003/CV4068/PSVANE WE845仕様のスペシャルバージョンを取り上げて頂くことになっていますので是非ご期待下さい。
そして今回Kさんのオーディオ仲間YさんがゲットされたフォノEQがこれ。
SV-396EQ/WE396A仕様です。SV-310EQと同じCR型でありながらクリアな高域と締まった低域に加え広大な音場再生を目指して開発したモデルです。ジャズやロックを中心に聴かれるYさんには格好のモデルといえましょう。
SV-396EQでは12AX7(一本)と5670WA/396EQ(二本)を使用します。Yさんが用意されたのはSIEMENS ECC83(Germany)です。
本でも書いたように初段は車でいえばファーストギア。車がいかにFun To Driveであるためにギアフィールが極めて重要であるのと同様、真空管アンプにおいて初段管は音の輪郭を作り出す非常に重要な部分です。SIEMENS ECC83はやや硬質でくっきりした音。Yさんの指向する音にはぴったりであると同時にWE396Aのしっとりとしたキメ細やかな倍音を甘くさせ過ぎずに支えていて見事な調和でした。
今年一年のお礼を申し上げ向かったのは大阪。5日間の巡業の最後を飾る打ち合わせが待っています。まだまだレポートは続きます…。