少し前にテレビCMで”プライスレス”というキーワードがよく流れた時期があります。モノを買うという行為の先にあるバリュー(価値観)やかけがえのない体験。私どもが20年間やりたかったのは、この価値と感動の共有でありました。
今日もそんなレポートをお伝えしたいと思います。まずは岐阜のIさんから。SV-284Dを完成されたばかりです。


SV-284Dは、T3Gを楽々鳴らし、オーケストラのすべてが目の前に展開されるようになりました。また、前段アンプによる音の変化も、楽しませてもらいました。サンバレーmini91B,自作EL34PP、サンオーディオ300Bシングル、どれもそれぞれの興味深い味わいを楽しむことができました。


Iさんがお使いのウィーンアコースィックのT3Gは当時たくさんの方が使っておられ、逆にお客さんの家でその素性の良さを知ったスピーカーの一つでした。公称能率は91dB/4Ωと高めですが、実能率は3dB程度割り引く必要がありアンプのドライブ力が問われるスピーカーでした。同じ300Bシングル(8W程度)でも全く鳴らないアンプとしっかり制動出来るアンプがはっきり分かる鏡のようなスピーカーでしたが、良いアンプと組み合わせた時の美音は、それは素晴らしいものでした。
実はこの体験がきっかけとなってReferense 35が誕生した事をご存じの方はどの位いらっしゃるのでしょう。当時ウィーンアコースティックのスピーカー群を製造していた工場の門を叩いたのは或る意味必然の結果だったかもしれません。今でこそ申し上げて差支えないと思いますがディスコンとなったS-1G(Haydn)はReference 35と多くの共通部分をもつ、いわば異父兄弟のようなモデルです。

Fさんとショールームで初めてお会いしたのは最近のことですが、ヤマハのNS-1000Mを生き生きとした音で鳴らしたいということで、過去の経験から1000モニならではの澄んだ高域と弾力のある豊かな低域を引き出すには是非タマで!それも845シングルか多極管プッシュプルでとお奨めしました。
高域重視なら845シングル,低域重視ならKT150のPPが1000モニには最適…確か2012年7月、静岡のSさん宅にSV-2(2010)を納品にお邪魔して音を聴かれて涙を流されたSさんの姿は今でも忘れませんし、2016年12月、NS-5000(NS-1000発展モデル)をSV-8800SE/KT150で鳴らされているNさん宅のスケール感は嘗て体験したことのないものでした。こういう形で自身の体験が元となって新たな仲間と共有できというのはオーディオという仕事をしていて最高に嬉しい事です。
Uさんとの最初の出会いは8月のスピーカー持込試聴でした。スピーカーは作ったことがあってもアンプは…と仰ったUさん。その…が「自信はないけど作ってみたい」ということが分かったので、「やってみましょうよ。分からないことがあれば何時でも連絡して下さい。全力でサポートします」と背中を押させて頂いた結果、上の写真のような見事なワイヤリングの作品が完成したという訳です。最初からこんな風に出来る方は多くはないかもしれません。でも途中で色々とトラブルがあっても気持ちさえあればきっと出来ることは私どもの20年、6万数千台の出荷実績が物語っていると思います。
皆さんがキットを選ぶ理由は様々でしょう。少しでも安く…あとでカスタマイズしたい…何よりモノづくりの感動を味わいたい…動機は何であっても良いと思います。結果として”作って良かった、楽しかった”と思って頂けるように私たちが居る…そしてこれからも同好の志としてプライスレスな瞬間を一人でも多くの方と共有したいと心から思っています。