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真空管・オーディオ 本当のはなし”が刊行されて2週間。”究極の逆張り本”という噂もあって正直売れるか心配だった訳ですが、フタを開けてみれば自分でもびっくりするほどの反響があって版元さんも驚いておられます。

これは近日WEB公開予定の出版記念対談時のスナップです
この企画について最初お話を頂いた時、いわゆる技術書にはしたくないとだけお願いしました。優れた真空管に関する技術書はいくらでもある訳ですし、もし私がお手伝いできるとすれば…オーディオ版”地球の歩き方”(真空管アンプ編)的な感じですかね、と担当編集長にお話した記憶があります。観光名所やグルメスポットの紹介ではなく、実際に現地を歩いた方がその場所の本当の魅力を等身大の目線で書いてあるような本にしたかったからです。
アマゾンのレビューも幾つか出てきている訳ですが私の方にも沢山のご感想を頂戴しています。ごく一部ですがご紹介させて頂きます。
いや~ぁ、凄い、びっくり、一寸信じ難い。でも面白いですね~。
まるでアンプを取り替えたよう。お千代ちゃん(島倉千代子)の歌声はより芳醇で艶やか、ヴァイオリンの音も膨らみ豊かに空間に響く音色に。三極管モードで聴くとまるで別アンプ。
「三極管か多極管か」を読みながら?ん、!?、どこかで見た事が・・・“、でユニゾン・リサーチ、Triode20の取扱説明書を見ると「三極管接続と五極管接続の切り替え」とあり、物は試しでスイッチを切り替えた途端、上述の別世界が出現。ラックの中のこのアンプはこんな芸当が出来る優れものとは露知らず。
メカ・オーディオ音痴には有難い本です。特に真空管固有の言葉の意味や使用上の様々な留意点が分かり、更に技術的に難解な内容も図解入りで易しく解説されておりイメージ的には理解出来ました。又、半導体と真空管アンプの違い(倍音)も鮮明になり真空管アンプにより愛着が湧きます。
対話が興味深く、特にプロのヴァイオリン奏者が自身の演奏を様々な機種で聴き試し、評価するというのはユニークで秀逸な企画。聞こえを表す表現力の豊かさもたいしたもの。平間さんの「真空管アンプを一つの楽器としてとらえる」との指摘はオーディオとの付き合い方を教えてくれるものです。
何を取り替えても音が変わるのがオーディオの世界で、その組合せによる音色の数は無限にあり、真空管アンプ弄りは、費用もさして掛らず、もってこいの道楽(良い意味で)ですね。
(M谷さん)
ワクワクしながら拝読しました。中でも驚いたのがパッシブバイアンプのこと。読後の感想を書く前に、音が劇的に良くなったのでその感動冷めやらないうちにメールします。
これまではJB300BとSV19Dをセレクタで切り替えながらそれぞれの音色楽しんできました。シングルとプッシュのアンプを一つのSPに繋ぐとは思いもよりませんでした。SPはKit LS3/5A 黒い塗装仕様です。
今回組み立てマニュアルを読み返したらバイアンプ使用の接続例まで図示されていました。ウーファとツイータのアンプをつなぎ比べ、ツイータがJB300B、ウーファがSV19Dが良好でした。紹介されている例の通りでした。またあらためてブスバーを使って一台のアンプで接続してみて、その違いにただただ驚いて感動しておりました。
基準にしたのはビルエバンス、ワルツ フォー デビー (最初の曲、マイフーリッシュハート)です。最初に違いを感じたのはドラムス、特にブラシの擦過音、シンバルのカシカシと鳴る音ですね。生き生きと、そこでドラムセットを演奏しているようなシズル感が味わえました。またアンプ側で音量を調整することで各帯域のバランスが変化するのも楽しいです。
2007年頃、我が家のオーディオ機器がサンバレー製品に入れ替わり毎日音楽聴くのが楽しくて仕方がなかった日々が蘇りました。一言お礼を申し上げたくてメール書きました。ありがとうございました。
(M田さん)
「大橋慎の真空管・オーディオ本当の話」今読んでいます。
まだPart1を読み終えたところですが、例えばSV-2300LMの交流点火の苦労話などが、2300LMの開発時にもっとアピールされていると良かったのではないかと感じています。
苦労話は聞いていると本当に共感します。
●基礎知識について、
ここまで体系的に初心者(特に音楽が好きな)に分かりやすい内容の図書はなっかたですね。
初心者から中級、ベテランの方まで読み応えあると思います。
●楽しみについて、
具体的な現行機種の違いと1616系アンプでの球ごとの比較は参考になります。
●対話について、
ここまで観念的な会話をされているのですね。
まあ対談の方々のレベルも高いですし。
忘れていたことを想い出したり、やはりそうであったかなど有益なことが多々あります。
(N村さん)
真空管オーディオ本当の話。先ほど届きました。
早速読んでおります。
止まらなくて。困ってます(笑)。
(S木さん)
…他にもたくさん頂戴している訳ですが、私にとって発見だったのが今まで何度もブログ等で書いていることが活字になったことで改めて情報として定着した(意味をもった)という実感です。裏返せば日ごろ私が書いていることが多少なりとも体系化されたのであればこれほど嬉しいことはありません。
本書の冒頭、”まえがき”(編集部 記)をここに転載させていただきます。改めてこの本は何だったのか、自分なりに噛みしめているところです。
まえがき
本書は真空管アンプのみならず“良い音で音楽を聴きたい”と願うすべてのオーディオファンに向けて、ミュージックバードの番組「真空管・オーディオ大放談」のエッセンスを再構成したものです。
大橋氏は1998年に真空管アンプキットの製造販売という特異なビジネスモデルをスタートさせ、瞬く間に多くの注目を集めることとなりました。店舗を持たない、卸売をしない、音を聴くためには自分で作らなければならないという、まるで時代に逆行するようなビジネスが、なぜ多くの方に受け入れられたのか? しかも、自作派と呼ばれるオーディオマニアのみならず、音楽業界、なかんずく第一線で活躍する演奏家や音楽制作関係者にまで同社が広く知られるようになった理由はどこにあるのか?
その秘密は、本書を読んでいただければ明らかでしょう。
番組の中で、真空管機器の音の魅力をビビッドに、そして嬉々として語る大橋氏の言の葉(ことのは)に耳を傾けているとたちまち真空管の音の虜になってしまうのです。また、大橋氏の手掛けたアンプが生き生きと、雄弁さが際立つ音で鳴っているのを聴いていると、音楽を聴く根源的な歓びに一歩も二歩も近づいたような気持ちになるのは不思議な体験でもあります。
本書は、
PART 1 真空管アンプの基礎知識
PART 2 真空管アンプの楽しみ
PART 3 真空管アンプをめぐる対話
という3部構成となっていますが、あたかも読者が実際に番組を聴いているような軽快さで楽しんでいただくことを目的として編まれています。しかし、本書に掲載できたのは番組のごく一部であり、全容を収録できているとは言えません。ですから、続編に期待していただきたいと思います。
「ソノリティ」という言葉があります。“響き”“聴こえやすさ”という意味の音楽用語ですが、真空管が持つソノリティの高さと、大橋氏の真摯な音楽への想いが共鳴しているように感じる読者も多いのではないでしょうか。それこそが、真空管機器の魅力であるに違いありません。
本書を通じて、真空管機器で聴く音楽の魅力を再発見されることを願っています。
立東舎編集部