先日少しご紹介した
PSVANE 845/211のファーストレビューに続いて今日は
PSVANE WE310Aについて。既に販売開始していてレビューが後回しになってしまいました。
これが現物。立派な化粧箱にペア選別された2本が並んでいます。いわゆるスモールパンチTypeです。ちなみに価格はLM310A据置きです。
LM91Aに実装したところです。左がPSVANE WE310A,右が最近まで販売していたLM310A。かなり形状が違いますが電気的には本家ウエスタン 310A/B,337A/Bとリプレイス可能という面では正統的310Aの血統です。興味深いのはその音です。
LM310Aと比較するとPSVANE WE310Aは良い意味で端正で繊細。本家ウエスタンの310Aと337Aを比較すると337Aの方が僅かにゲインが低い代わりに音が太く、倍音が良く出ることが知られていますが、PSVANE WE310AとLM310Aを挿し替えつつ慎重に比較試聴すると、PSVANE WEの方がクリアでレンジ感もあり細やか。LM310Aの方がザックリと鳴る傾向です。
例えば
SV-91Bをお持ちの方で”とりあえず1ペア使ってみるか…”という方は初段(五結)にPSVANE WE310A,ドライブ段(三結)にLM310Aという組み合わせの方がバランス的に正解です。前回の211/845試聴の時にも感じたことですが、PSVANEはどの銘柄も非常にニュートラル。既に多くの方にお納めさせて頂いた
PSVANE 300Bに代表されるような安定した品質(個体差が小さい)と癖のない音質が従来の中国球とは明らかに異なります。
逆に言えば曙光電子(Golden Dragon)の845と211のように、或いは
Prime 300B ver.4と
ver.5のように個性豊かで鳴りっぷりも違うという対比の明確さと比べるとPSVANEは面白味に欠けると感じられるかもしれませんが、得手不得手のないヴァーサタイルな(多芸多才な,守備範囲の広い)良さを持っていると言い換えても良いと思います。何よりトラブルの少なさは他の現行球ブランドから一頭地抜けています。
このPSVANE WEシリーズでは
300B,
274Bがその価格の高さに関わらず大変な人気でしばしば品切れになりますが、その他に気になって仕方がないWE211,WE845というシリーズも出ています。
この2種類はまだ現物を見たこともなければ音を聴いたこともありませんが、サンプル手配はしていて上手くいけばギリギリ真空管オーディオフェアに間に合う…かもしれません。両者とも通常版の211/845よりもかなり高価なだけで何が違うのか、音はどうなのか気になるところです。PSVANE WE300B, WE274Bの造りの良さ,音の良さで際立っただけに早く聴いてみたい気がします。
中国で民生アンプ用の真空管が作り始められ日本に入り始めて25年余り…ここへ来て中国球も新たなフェイズに入りつつあるような気がします。PSVANEブランドには今後も注目していきたいと思います。