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イマドキの若者が選ぶ真空管アンプ

今日はMUSIC BIRD収録二本録り。一本目は先日の管球王国 組立取材で大健闘した大学一年生のAクンをスタジオに迎えて”イマドキの若者が選ぶナンバーワン真空管アンプはこれだ!”というテーマで行いました。オンエアは11/23(金)です。
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実質一日半で初体験のアンプ組立を見事完遂した彼への感謝の気持ちと共に他のアンプの音も聴かせてあげたいと思った今回の収録。さてAクンの心に留まった音のアンプは何だったでしょうか…。
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まず最初はAクンが作ったSV-S1616D/EL34仕様。プリは3ロット目が入荷即完売間近で次回入荷は12月初めになりそうなSV-Pre1616Dです。今回もアンプの出力電圧をモニターしながら全ての組合せで同ゲインで収録したので比較試聴にはバッチリのプログラムになったと思います。
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続いて出力管をGold Lion KT88に変更。EL34より一層シャープネスが出て高域のシビランス(サ行の歯擦音)がより明確になり低域も伸びます。良い意味でドンシャリ系の音といえば分かりやすいかもしれません。彼は”近い音”と言っていましたが、まさにその通りであると思います。
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次はSV-S1616D/300B仕様。300Bならではの響きの豊かさや円やかさがどう聴こえるかが興味のあるところでしたが、間接音的空気感やアコーステイックギターの胴鳴りのリアルさを聴き取っていました。若い耳には多極管と三極管の違いはとても大きな違いと感じられたようです。
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続いてはプッシュプル。これまで何度か行ってきた”ミュージシャンが選ぶナンバーワンアンプ”シリーズでも評価の高かったSV-P1616D/6L6GCです。誇張のない自然さで音楽ジャンルやスピーカーを選ばない中庸の美が今回も現れました。事前の予想ではAクンはこの辺りをナンバーワンに推すのでは?と思っていたのですが…。
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続いてはSV-P1616D/KT120仕様。数ある出力管のなかで或る意味最も聴感上のリニアリティが高くスピーカーの制動力もあるKT120は日ごろ彼が聴いている音に最も近かったかもしれません。今回はスタジオモニターでのチェックでしたが、これが大口径のフロアスピーカーだったらKT120の強みが更に顕在化するでしょう。
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次は写真を撮り忘れたSV-P1616D/300B。高域の繊細さや伸びそのままで低域の厚みとコクを加えてたっぷりと聴かせる300Bプッシュプルの”朗々と鳴る”心地よさは真空管アンプのなかでも最もリッチな音といえるもの。彼は”シングルの音の拡がりやふくよかさそのままにギターの弦一本一本が太くなったように感じた”と的確な感想を漏らしていました。

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そして最後はSV-S1628D。今回注目は本邦初公開のPSVANE 211と845です。まだ正式採用前のチェック途中ですが従来の中国製送信管と一線を画するその音質をリスナーの皆さんにも感じて頂きたいと思い収録に使わせて頂いた次第です。

211は曙光製(Golden Dragon)では中域的な円やかさがポイントでヴォーカル等に最適な球として人気がある訳ですがPSVANE 211は高域のトランジェントがよく明るい音でベールを1枚剥がしたような鮮度感が非常に魅力があります。これまで聴いてきたどのアンプとも違うフレッシュな音は彼にも新鮮だったようです。従来の211よりも高域方向のリニアリティを高めた音で彼は”キラキラした音”と表現していましたが、言い得て妙です。
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最後はPSVANE 845。いわゆる845的な輝かしさとレンジ感そのままに全体のバランスを整えた音というのが永世ゲストTさんの弁。845は良い意味で極めてオーディオ的で、リラックスして聴くというより聴かされる音と言っても良い主張の強さが魅力な訳ですが、PSVANE 845は先鋭感が抑えられながらも今回聴いたなかで最も近い音といえる鮮明さがありました。

従来の211/845はかなり明確な個性を有していた訳ですが、PSVANEではその差分が抑えられながらも211的な円やかさ,845的なフレッシュネスを残した良い球といえるでしょう。あとは被検査数を増やして個体差(バラツキ)がどの程度あるのか、耐久性はどうか、という点を検査していきたいと思っているところです。正式採用も近いと思います。

8種類のアンプを聴いたAクンがいちばん気になったアンプは果たして何だったのか…事前の予想では多極管プッシュプル系じゃないかと何となく思っていたのですが、結果はSV-S1616D/300B仕様でした。300Bの魅力は今更申し上げるまでもない訳ですが、300Bの寛いだ豊かな響きが世代や経験を超え受け入れられるんだと分かって何だか少しホッとして気持ちになりました。

オーディオという趣味、真空管アンプで聴く音楽の歓びを次の世代にも伝えなければならない…常々そう感じている訳ですがAクンと出会って組立取材や比較試聴の収録でご一緒させて頂き、真空管アンプの灯はこれからも消えることなく、ますます輝き続けることを強く実感できた収録になりました。とても楽しかったです。



by audiokaleidoscope | 2018-09-20 23:58 | オーディオ

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