如何に雨を降らせるか…井筒さんのLPに賭けた生島さんの想い
2018年 09月 16日
10/8(祝)16:00~17:00
の打ち合わせをしてきましたので、そのレポートを…。
このイベントではレコーディングを担当したレジェンド高田英男さん(ミキサーズ・ラボ)と今回のフルLPのディレクションを担当した生島昇さん(ディスクユニオンjazzTOKYO店長)と井筒さん本人の鼎談を通じて如何にLaidback2018というプロジェクトが特別なものであったか、その一端は以前このブログでも書きましたので、ご記憶の方もおられるかもしれません。
その後、ハイレゾ版や日本オーディオ協会の11.2MHzマスターのLP(三曲収録)を経て10/10(水)に全曲所蔵のLPが発売されることになりました。詳細は
https://twitter.com/JazzTOKYO/status/1039835605016825856
BLOG
http://blog-jazztokyo.diskunion.net/Entry/36443/
にアップされていますが、今回レコ発イベントとしてトークショーと先行発売(会場限定)+サイン会を真空管オーディオフェアSUNVALLEY audioブースでやろうということになった訳です。各界の第一人者が何を語るのか…私も興味津々な訳ですが、そのテスト盤が上がってきたということで生島さんのプライベートシステムで試聴させて頂けるという僥倖にあずかりました。





この図をご覧ください。現代のスピーカーでは考えられない左右ch一体のエンクロージャー。中央部にマウントされたウーハー(LE15A等世代により異なる)から導かれた長い音道の途中に075(ツィーター)が置かれ、コンプレッションドライバー+ホーン(375 or 376+H5038P) が音道の出口にレイアウトされるという、phase coherent(位相整合)という概念がまだなかった頃のユニット配置。加えて言えば各ユニットの指向角は極めて内向きになっており中央のアーチ状のRefrection Panel(反射板)に当たって反射し。左右chの信号がモノラル的に合成されてリスニングポイントに向かうという設計です。
時代性に鑑み基本増幅系は真空管で鳴らす方がほぼ100%な訳ですが、その鳴りっぷりは良い意味で豪放磊落。私が知る限り最高の音で鳴っているパラゴンは横浜にある訳ですが、巨大なフルレンジのような中域の熱気と音が前にせり出すパワー感は他のスピーカーでは味わえない世界です。

生島さんによればパラゴン導入前はEXCLUSIVE(パイオニア)のスタジオモニターでずっと鳴らされてきたということですので、そのモニター的チューニングがしっかり身についていらしゃるのでしょう。加えて様々な音源の厳しい音質評価の場でもあるこのシステムが過度に悦楽的でなく適度な客観性を有しているのは或る意味で当然と言えるかもしれません。

生島さんと一緒にLPを聴きながら何度も仰っていたのは”雨を降らせられるか…”ということ。どういう意味かと尋ねると、Laidback2018に収められている”雨の鼓動”という曲から、まさに雨が降っているようなしっとりとした質感、アナログでしか味わえない柔らかいテクスチャーと湿度感が出ているか…に最も配慮してマスタリングエンジニアと大いに議論したと仰っていました。