秋の夜長の真空管とモノづくりニッポンの行方

世間の夏休みが終わり例年はひと息つく頃なのですが、なぜか今年は落ち着くどころか日々追いまくられて全く余裕がありません。お盆前にTU-8340SVとTU-8600Rの予約受付けをスタートしたことも相まって休み中は自分の工作もままならずPCをずっと睨めっこしたままだったのですが、今日になって少し気持ち的に余裕が出来てきたかな、という感じです。

前回のポストから一週間あまり、色々なことがありました(あとで書きます)。雑誌関係でいえば立ち続けにキット製作記事が決まりました。まずはステレオ誌(音楽之友社)です。次号(10月号/9月19日発売)では”秋の夜長の真空管”という特集記事が組まれます。
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月間ステレオ誌ホームページ「次号予告」

その中でキット製作のページがあり、JB-320LM/300B仕様が初心者向け代表機種として選ばれました。そしてもう一誌決まったのですが、これは改めてご紹介したいと思います。

現在のトレンドとしては原点回帰,オール手配線の1616シリーズが人気ではありますが、一方で未経験だけど真空管アンプを作ってみたいという方がその何十倍,何百倍もいらっしゃる筈。そのために機構部品(入力セレクター,ヴォリューム,スピーカーターミナル等)は全て取付済,配線済で更にはトランス類も事前に取付済で高圧回路を含む電源部も配線済、皆さんに組んで頂くのは電圧増幅回路の基板と亘り配線のみ、という手軽さが人気のキットがJB-320LMとSV-2300LMです。
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JB-320LM
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JB-320LM内部(組立部分ハイライト,その他は組立済)
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こちらはSV-S1616D/300B仕様。同じ300Bシングルでもだいぶ様相が違いますね

以前「オトナのモノづくり」と題して東京でJB-320LMの組立会をやった時もそうでしたが、自分で作りあげる感動と使う歓びを同時に味わえる趣味を体験したくてウズウズしている方がどれだけいらっしゃることか…誰だって最初は初心者、誰だった失敗して強くなる…そういうメッセージをこれからも発信しつづけていくのが私たち業界側の最大のミッションです。

一方で困ったことも起こっています。大きな意味でのDIY(クラフト)離れの流れはゆっくりと確実に進行しているのかもしれません。つい最近も自作派オーディオの強い味方であった老舗トランス屋さんが60年の歴史に幕を下ろすことを発表されたばかりで業界に激震が走ったところ。トランス屋さんだけでなくヴォリュームやセレクター,スイッチの類もどんどん製造中止になってきています。先月まで普通に手に入ったパーツが急にディスコン…なんてお話は枚挙に暇がありません。

その結果、何が起こるか…数少ない”やれるところ”に全てが集中するのです。身近なところでは日本で唯一LPのプレスをやっている東洋化成さんがフル稼働でも生産が全く追いつかないというのも他にやれるところがないから。真空管アンプではトランスの他でいえばシャーシ(板金)屋さんも寡占化が進み大変なことになっています。実は夏休み中から最も頭を悩ませているのが、この煽りを喰らってSV-EQ1616Dの日程が全く読めなくなってしまったことなのです。

キックオフは順調。これなら真空管オーディオフェアにデモ機を出して来年3月の出荷開始OK…とタカをくくっていたのもつかの間。お盆過ぎに情況を確認したらお付き合いのあるシャーシ屋さんは夏休み返上でフル操業。図面を貰ってもいつ着手するかすら全く分からないとのこと。これでは10月にデモ機どころか今後のスケジュールすら組めないというのが現在のステータスなのです。これにはホトホト困りましたが仕事の性格上こういう時に慌ててやっても結果は往々に上手くいかないことを何度も経験済です。品質に勝るバリューなし、ということを肝に銘じていかざるを得ません。

皆さんには大変ご心配をお掛けしますが情況が明らかとなるまで少し時間を頂戴したいと思っています。こういう時こそパートナーを信じるしかありません。モノづくりニッポンの灯を消さないためにも。


by audiokaleidoscope | 2018-08-22 22:17 | オーディオ

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