恐るべき4343BWX!

今日はHさんのリスニングルームを再び表敬訪問。前回それだけ鮮烈な音が出ていたということでもあった訳ですが、今日は更に衝撃的でした。
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前回お邪魔した時は時間がなくてメインのALTEC A5でアンプの聴き較べで終わってしまった訳ですが、今日はJBL 4343BWXをSV-P1616D/KT120でゴリゴリに鳴らしているのを堪能させて頂きました。たぶんHさんの本音的にはこっちを私に聴かせたかったのかもしれません。それは音のみに留まらずHさんの40年のオーディオとの葛藤と相克の歴史を知ったひと時でもありました。

その前にまず今日の音について…。
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今日のソースはミシェル・ペトルチアーニ。20年しか生きられないと宣告されていた彼が18歳の時にリリースした初リーダーアルバムがこれ。先天性疾患による障害を克服しフランス最高のジャズ・ピアニストと評価されるほどの成功を収め、36年間の人生を駆け抜けた天才の命の輝きは”情熱のピアニズム”でも観ることが出来ます。

今日のHさんは少しテンション上がり気味。前回はA5側に向いていたソファが4343B側にレイアウト変更されていてアンプもばっちりプリヒート済。Hさんの”聴いてくれ!”という気迫のようなものも感じました。

Hさんが選曲した二曲目”酒と薔薇の日々”を聴いて久々に感じたJBLの真髄。会社の数々のスピーカーからも、自宅のタンノイからも聴いたことのない等身大のスーパーリアリズム。シンバルの打擲(ちょうちゃく)はまさに金属が鳴っている音。ベースの低音はJBLの38㎝でしか出ない”持続する超低音”…文字で書くのは難しいのですが、ベース音が立ち上がった後に1オクターブ下の倍音が追従して深く持続する快感とでも表現すればいいのでしょうか。これぞまさにJBL…これぞまさに4343とでも言うべき”ザ・ジャズ・オーディオ”の極致。後に4344が出てもこの低音の魅力に抗えず4343を愛し続けたたジャズファンが多かったという伝説が真実に感じられる…それはナマ以上に生々しいライブハウスの熱気そのものの音でした。

ひとしきり聴いたあとHさんが話し始めます。一枚の写真を出してきて、見せられたその写真には40年前のHさんのリスニングルームが。そしてそこに写っていたのは4343BWXの前身、4343Aでした。

Hさんのお話を要約すると…

”若い頃4343に憧れて買った訳ですよ。でもそれが鳴らなくて…大出力のトランジスターアンプじゃないと鳴らないと言われて、でも低域が全然こんな風じゃなくて、それで買い換えて、どんどんアンプの出力が大きくなって何百Wになって、そのたびに落胆して…それで一旦オーディオを止めてたんです。

でも、どうしてももう一度4343を鳴らしたくなってケンリックで純正のレストア品を買った訳です。でもアンプは半導体で…まあ、こんなもんかと。ひょんなことから真空管アンプという選択もあるなと思ってサンバレーに試聴に行った訳です。今思うとどうして最初から真空管にしなかったんだろう…本当にそう思いますね。私の40年間は何だったんだ、って。昔は真空管アンプ=鈍いってそう思っていたんでしょうね。とんでもない勘違いでした。”

実はこの手のお話は枚挙に暇がありません。JBL+大出力半導体アンプこそが正解だと信じて散々やった挙句、真空管で鳴らしてみて”これはなんだ!”という方との出会いは数えきれませんが、恐らく半導体アンプのDF(ダンピングファクター)の高さが災いして低域が締まり過ぎてJBLらしい量感と豪放磊落さがスポイルされた結果であろうと推測する訳です。

幸いだったのは事前にショールームでお話を伺っていて4343系なら多極管プッシュプル、それもKT120で決まりです…というコミュニケーションが出来ていたからの結果だったかもしれません。数値上のダンピングと聴感上の量感は全く一致しない訳ですし、別のアンプをお奨めしていたらHさんの感動も違ったものになっていた可能性は十分にあります。A5では211シングルに較べクールでモニター的に感じたP1616Dが4343BWXで初めて牙を剥いて襲い掛かってきたかのような印象。まさに真空管アンプは楽器そのものです。

ちなみにSV-Pre1616Dはオール12AU7+5AR4。Hさんの4343の熱気に一役買っていることは間違いありません。Hさんに許可を貰わないといけないですが、近々開放日を出前でH邸でやったら盛り上がるだろうなあ…と思いながら帰ってきた訳ですが、過去聴いた純正4343系ではダントツの音の良さでありました。いま思い出しても凄かったです。



by audiokaleidoscope | 2018-08-06 03:49 | オーディオ

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