オールドマッキン VS サンバレー

今回のMUSIC BIRD収録は8月末~9月オンエア分の二本録り。まず一本目は8/31(金)オンエアの”オールドマッキン VS サンバレー”というお題で進めました。

今回は真空管アンプの歴史の中で燦然と輝く人気ブランド”McIntosh”のヴィンテージアンプがスタジオに集結。その音色(ねいろ)を時代順に聴きながらオーディオの王道の存在感とともにマッキン人気の秘密さらには真空管アンプの過去,現在,未来をリスナーの皆さんと一緒に考えつつサンバレーアンプとの比較も行おうという企画です。
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今回のスペシャルゲストは生島 昇さん(ディスクユニオンJazzTOKYO 店長)。ご自身もMC-275ユーザーであり日々マッキンの音を楽しんでおられる方のナマの声を交えながら進めました。オリジナル状態をキープしたヴィンテージマッキンアンプを比較試聴できる機会というのはそうそうありませんし放送を通じて自分のリスニングルームで居ながらにして個々のアンプの音を聴けるというのもMUSIC BIRDならではのものです。

プリはC22オリジナルを使用。真空管プリの名器中の名器です。今回の収録にあわせて入念なメインテナンスを行いました。
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最初に登場したのはMC30。60年代後半の個体で先日メインテナンスさせて頂いたHさんの個体をお借りしました。もちろん全ての機器は原設計の想定電圧(105V~117V)に一次側を昇圧して動作させています。

MC30はひと言でいえば”硬派”な音。ワイドレンジではありませんが骨太でガッツあふれるサウンドです。C22のような厚みのあるプリとのマッチングによって本領を発揮する筋肉質な表現に生島さんから”このスタジオの音は日ごろの収録でよく分かっていますが今日は別次元の音で鳴ってますね”とコメント。幸先よいスタートが切れました。
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続いては私とコ・パーソナリティTさんの共通の友人であるFさんからお借りしたMC240。ステレオ形式に変更され60年代に製造されたものですがMC225,MC275と共にシリーズ製品として大ヒットしました。そんな三兄弟の次男であるMC240は長兄MC275と音質的には異なり繊細でスムーズ。マッキン管球アンプのなかではクラシックファンに愛されるのが頷けるMC240です。

MC30と比較すると明らかに音の柔らかさがあり、いい意味でエレガントな音ですが決してか細い訳ではなく上品な表現。生島さんが”これは弟というよりも妹ですね”というコメントがピッタリくる滑らかなサウンドでした。オールドタンノイファンの皆さんにもお奨めです。

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そして今回の本命MC-275。今回生島さんが家から持ち込んで下さったもので極めて状態の良いオリジナルモデルです。

この手のヴィンテージアンプは測定だけでなく実際聴いてみないと健康状態を推し量ることは出来ません。残留ノイズが多いのは電源部の平滑コンデンサーの容量抜け、音が歪っぽかったり左右のゲインがバラつくのは真空管の劣化あるいは信号系のCRの経年変化です、特に抵抗に関しては知らないうちに抵抗値が上がっているケースが散見され何となく音に生気がないとか曇っている感じがある場合はオーバーホールが必要ですが、安易に現行パーツに置換することでオリジナルの音質を大きく棄損するケースも多く、そういう意味では音質上の個体差が大きいのもヴィンテージの難しいところです。今回は幸いオリジナル状態をキープしていることを条件に集めた個体ばかり。外観で選ぶとあとで痛い目に遭います。特にコンデンサーの安易な交換には注意すべきです。

音的にはこれぞマッキンというに相応しい低域の量感と伸び。スタジオのGENELEC(モニタースピーカー)がいつもと全く違うサウンドで鳴っています。C22との組合せは黄金のコンビと言われて久しい訳ですが、その存在感も含め無二の存在といえるでしょう。生島さんも”いつかはC22を手に入れたいですねえ”と仰っていました。
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続いてはTさんが1980年頃購入されたMC2105(右)。これはマッキン最初のソリッドステートパワーアンプで、マッキン伝統のオートフォーマーを搭載することでダンピングファクターが現行の半導体アンプと比較して管球式に近い10~20という値ですのでヴィンテージスピーカーにも問題なく使えます。

当時の高能率スピーカーと現行半導体アンプで鳴らすと低域の量感が決定的に不足し鳥が啼いているような音だ、と言われるのも原因の多くはアンプのダンピングファクターが高すぎてスピーカーユニットのT/S(ティールスモールパラメータ)とマッチしていないことが最大の原因ですが、少なくともMC2105については全く杞憂です。Tさんは気分によって真空管アンプと繋ぎ替えて楽しんでおられるようですが全く違和感なく聴けると仰っていました。低域は管球式よりも締まってはいますが深く沈みこむ感覚で中域的な厚みを残した聴き疲れのないサウンドに納得です。

最後に聴いたのはSV-310+SV-8800SE(KT90)仕様。SV-8800SEはMC275をオマージュしバイファイラートランス橋本電気に特注してデビューした私どものフラッグシップモデルの一つですが、当社でもハイパワー&エネルギッシュなアンプの最右翼であるにも関わらず並み居るマッキン勢と比較すると明らかに現代的で個性という点では希薄に感じます。

それだけマッキンの音作りは個性豊かであったということの証左かもしれませんが、SV-8800SEのヴォイシングがマッキンアンプと違うところは低能率,低インピーダンスの現代ハイエンドスピーカーをも鳴らし切る、というところにありますので、その点が最大の差異として音に現れたのかもしれません。

今回貴重な黄金期のマッキンアンプをお借りして時代順に聴き較べる機会を得たことは個人的にも大きな収穫があったことはもちろんですが、現在真空管アンプをお使いの全ての皆さんにとって何らかの気付きをもたらすものになったと考えています。

ヴィンテージの意味は単に旧いものを指すのでなく時代を経てもなお価値を失わず、むしろそのアイデンティティを際立たせるものであることを改めて確信したひと時でした。



by audiokaleidoscope | 2018-07-20 10:55 | オーディオ

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