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音は人なり

今日は新幹線で日帰り東京。地下鉄丸ノ内線から半蔵門線に乗り換えて東京FMへ向かう道すがら…東京駅丸の内北口のドームに目を奪われました。
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いつも車に機材を沢山積んで高速道路を走りながら周りの自然の景観や富士山の雄大な姿を愛でながら進むのも気持ちの良いことですが、時には人の匠に心奪われるのも良いものだと感じました。

そう…今日は我が国最高峰のレコーディングエンジニアとマスタリングエンジニアによる”人の匠”を感じるためのMUSIC BIRD収録。ミキサーズ・ラボ内沼 映二さん菊地 功さんという超弩級のスペシャルゲストを迎えた2時間でした。オンエアは8/3(金)22:00~です。

いつも永世ゲストとして番組に参加頂いているTさんが現在ドイツ外遊中ということで、今回はミキサーズ・ラボ中村さんにコ・パーソナリティとしてご参加を依頼。7/4に配信で先行発売,8/22にCD/SACDハイブリッド盤で発売が予定されているミキサーズ・ラボ企画・制作の「BIG BAND SPECIAL」の音を聴きながら内沼さん、菊地さんのお話を聞くという内容です。
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※画像提供 ミキサーズ・ラボ

これがその新譜。内沼さんが手掛けたビッグバンドシリーズの第四弾ということになります。今回は若いオーディオマニアには新鮮、ヴェテランには懐かしい…そんな選曲。前半はジャズのスタンダード,後編は誰もが一度は聴いたことのある映画・TVのテーマ曲で構成されています。

BIG BAND SPECIAL

■JAZZ編
1.ホワッツ・ゴーイング・オン (原題:What's Going On)
2.モーニン (原題:Moanin')
3.想い出のサンフランシスコ (原題:I Left My Heart In San Francisco)
4.アイム・ゲッティング・センチメンタル・オーバー・ユー (原題:I'm Getting Sentimental Over You)

■映画・TVテーマ編
5.シャレード (原題:Charade)
6.スパイ大作戦のテーマ (原題:Mission Impossible)
7.いそしぎ (原題:The Shadow Of Your Smile)
8.007 ジェームス・ボンドのテーマ (原題:The James Bond Theme)
9.アイアンサイドのテーマ (原題:The Theme From "Ironside")
10.サー・デューク (原題:Sir Duke)

しかし今回の収録の目的は高音質の新譜をご紹介する事だけではありませんでした。半世紀に亘り日本の音楽シーンを牽引してきたトップエンジニアが見続けてきた音楽業界の現在・過去・未来についてタップリ語って頂くことこそが今回のメインディッシュであり、多くのオーディオ愛好家の皆さんが興味を持たれるに違いないと感じて臨んだ今回の収録でした。

業界では知らぬ者がいない”内沼弦”と言われるシルキーで透明感のあるストリングスの甘美な音色や、ヴィンテージ真空管マイク/アナログコンソールによる骨太で密度感溢れるダイナミックサウンドが内沼さんの感性によって紡ぎ出され、そのサウンドイメージを120%理解した菊地さんがマスタリングする…例えて言うなら完全に息の合ったピッチャーとキャッチャーのコンビネーションは健在。一小節聴いただけで”これは内沼さんだな”と分かる”ナマよりも生々しい”サウンドです。パッケージ音源(CD等)のセールスが苦戦するなかで請負業でなく”これが自分の音なんだ!”と意欲的に創作を続けるミキサーズ・ラボには心よりの敬意を捧げたいと思います。

昔話にも華が咲き、高校生の内沼さんが音楽に目覚め、電話帳を見ながらスタジオという名のつくところに片っ端から電話をして今で言う就活をしたお話や、また若かりし頃スタジオで勝新太郎さんからスタッフに配られるチップが当時の月給よりも高かったお話、またエンジニアをとして軌道に乗った後、ある週のベストテンのうち8曲がご自身のレコーディングによるものであったという逸話など、当時の映画界,歌謡界の華やかさが偲ばれる楽しいエピソードで収録はあっという間に終わってしまった感じですが、秋にはBIG BAND SPECIALのアナログ盤も予定されているということで、その際には是非またお出まし願えればと思っています。
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左から中村さん,内沼さん,菊地さん。今回は貴重なお話どうも有難うございました!

収録が終わって私は会社へトンボ返り。20時過ぎに会社に着いたところで中村さんから電話が入りました。何かあったかと思ったら”収録後に今日のスタジオのD/Aの音が凄かったねという話になりまして。もし可能なら一度マスタリングスタジオで試してみたいんですが…”という思ってもみないオファでした。
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これは前にも書いたことですが今や768k/11.2Mの時代。なのに未だに私どもがSV-192PROに拘っているのはスペックでなく音楽性という意味でこれを超えるものが作れないからです。もしこのお話が実現すれば日本コロムビアさんに続くスタジオ納入ということになるかもしれません。

今回様々なお話を伺って一番強く感じたこと。それはずっと前、高田英男さんが私に話してくれたことに繋がっていきます。「結局は人なんです。どんなに良い環境があっても良い演奏がなければ意味がないように私たちの仕事はどんなに良いスタジオや機材があっても使う側の感性が伴わなければ良い音楽は生まれてこないのです」。

…まさに音は人なり。録音を司るレコーディングも再生をするオーディオも使う人の感性次第でいくらでもポテンシャルを高める余地を残している…そう感じた今回の収録。とても楽しいひと時でした。






by audiokaleidoscope | 2018-06-04 23:19 | オーディオ

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