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レコードコンサート in ショールーム開放日

ショールーム開放日は真空管アンプを愛する仲間が集まる不定期のイベント。元々は予約なしで気軽に試聴が出来る機会を設けよう…というところから始まったのですが、次第に形態が変わってきて現在は楽しさに溢れたオフ会のような雰囲気に変わってきています。今回も遠くは埼玉からのご参加のTさんを含め、多くの方が午前中から夕方までお昼をとるのも忘れてお互いに機器やソース等の情報交換をされて楽しまれたようです。

今日のプリはSV-Pre1616D。先日MC30のチェックをさせて頂いたHさんが持ち込まれたオール12AX7仕様で鳴らしました。
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GEのJAN 12AX7WA(マランツ選別品)。前にも書きましたが”W"は耐振動,”A”はローノイズを意味します。非常に透明感がある明るい音で一部の12AX7系に見られるピーキーな感じがなく聴かれた皆さんも良い球ですね!という点で納得。
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そしてUさんが持ってこられたSV-P1616D/KT150金ピカ仕様。今日持ち帰えられたASC 4.7uFと先日お求めになったMullard CV4003がインストールされたSV-Pre1616Dがどんな風に金ピカに生まれ変わるか楽しみです。
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これは旋盤職人Sさんのアナログプレーヤー用スタビライザー。工芸品のような美しさです。スタビライザーはプラッターの見かけ上の質量を上げることで慣性モーメントが大きくなりプラッターの回転がより滑らかになるという点で有益です。一方で重すぎるスタビライザーはスピンドルの先端に著しい負担となり回転系の寿命を著しく短くするリスクもありますので、お使いになるターンテーブルの仕様を十分に確認する必要があるでしょう。上手に使えばアナログ系の音質改善に大きなメリットが期待できます。
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これは完売となったVintage S12のエンクロージャーにオールドのJENSEN 12インチを入れたフルレンジ。スピーカーの歴史の中での最大の転換点はアコースティックリサーチのAR3(1966)ではないかと思いますが、AR3が採用した”アコースティック・サスペンション方式”によりスピーカーの測定上の低域特性は著しく改善され、現在に至るまで大きな影響を与えてきました。一方でこれにより能率の低下というトレードオフを招いただけでなく”音の勢い”=聴感上の鮮度感が損なわれたと感じるヴェテランも少なくありません。

このJENSENに限らず帯域を欲張らず何ら補正も加えていない当時のユニットだけが持つ独特の生気あふれる出音というものがあるのも事実。この手のユニットを高DF(ダンピングファクター)の半導体アンプで鳴らしても決して良い結果は得られませんが、真空管アンプではヴィンテージスピーカーから最新鋭のハイエンドスピーカーまで新旧揃い踏みが可能な訳でオーディオの深く面白いところも今回の開放日で体験頂けたのではないでしょうか。

午後からは流れが変わって皆さん持ってこられた音源の鑑賞会的な内容に。そのほとんどがLPであるというのが実にウチらしいというか真空管アンプ屋ならではという気もします。

この方はMさん。元々は大のカーオーディオマニアでいらっしゃいますが、ピュアオーディオにも大変興味を持っておられ今日はオーディオファイル向けの超高音質音源を約1時間に亘りデモして下さいました。アーティスト情報や聴きどころも含めて説明してくれて皆さんスマホでチェック!音源は自分の耳で聴いて買うのが一番間違いありません。
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続いてはFさん。Fさんが自らバンド演奏もされる方でオーディオだけでなく音楽に実に幅広い知見をお持ちです。シャンソンから70年代ロックまで色々聴かせて下さいました。説明も素晴らしく思わず引き込まれます。
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今日出てきた音源で皆さんが唸ったものを幾つかご紹介しておきましょう(リンクはCDも含まれていますが聴いたのは全てアナログでした)。
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ジェニファー・ウォーンズ”The Hunter”。言わずと知れたテッパン中のテッパンですが何度聴いても納得の高音質といえます。
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イツァーク・パールマン他”Baroque Albums”。これはCDで聴いていたもののアナログの音の良さは格別。弦の切れ込み最高の一枚でした。
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ジョニー・グリフィン”Kerry Dancers"。これもジャズファンであれば誰もが一度は聴いたであろう名盤ですね。
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今日恐らく一番皆が震えた一枚といえばこれ。ハンク・モブレイ”Soul Station"。針を落とした瞬間に試聴室の空気が変わるような凄い鮮度感に息を呑むようでした。Iさんが持ってこられたのは45回転2枚組。直ちに検索を開始するも安くて3万円以上。オリジナル盤はなんと15万円以上…であることが分かって全員溜息をついていました。私も何とかして手に入れたいものです。

…その他にも沢山。今日は真空管アンプを聴く会というよりも真空管アンプを使った名盤鑑賞会の雰囲気でとても楽しかったです。終了の時間になって外へ出た皆はMさんのカーオーディオ見学。
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見え難い写真ですがトランクのほぼ全面がアンプで埋め尽くされている状態。私が分からなかったのはそもそもオフセンターで聴くカーオーディオのチューニングはどうやってやるのかということ。Mさんによればタイムアラインメント(各ドライバーの発音をミリsecオーダーで調整すること)によって耳に到達する時間を一致させることに加え各ドライバーのレベル調整も行われるそう。
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ドアミラーの内側にあるツィーターとミッド。いわゆるカーオーディオ的な鳴り方とは違う極めてフォーカスの明確な音と感じました。
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ドアについているのはたぶんミッドバス。内装材もぜんぶ入れ替えていらっしゃるそう。
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これはサブウーハー。見た感じカーボンファイバー製の振動板のように見えます。一切の緩みなくビシッと決まりながら深く沈み込む感じはホームオーディオとはまた違う世界です。下世話な話ですがMさんに”幾らかかった?”と伺うと指を2本立てておられましたので推して知るべしですね。何事も突き詰めると奥が深いものです。

こんな感じで終わった今回の開放日。6月は毎週末イベント続きですので次回は7月ということになりそうです。お気に入りのソースを持って是非お越し頂ければ幸いです!



by audiokaleidoscope | 2018-05-26 23:59 | オーディオ

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