12AX7系,12AU7系真空管の傾向と対策
2018年 05月 10日
ホームページで書いた”松,竹,梅”セットそれぞれの音質差や12AX7/12AU7の組合せでどう音が変わるか等色んなご質問を頂いていますが、最近”12AX7(12AU7)の代わりに○○〇は挿せますか?”的なご質問が増えているので、今日は代表的な球についてごく簡単にまとめておきたいと思います。
1. 12AX7系
”A”はローノイズ,”W"は耐振動を意味します。ヴィンテージの一部A管では最大定格が上がっている(例:最大プレート電圧300V→330V)ものもありますが、現行管についてその差異は明示的ではありません。
②ECC83,E83CC,ECC803S(差し替え〇)
欧州産の12AX7系の名称で電気的には同等。E83CCは高信頼管,ECC803Sはローノイズ管です。現行管についてその差異は明示的ではありません。
CVナンバー管は欧州軍規格品でCV4004は軍用高信頼管。箱型プレート形状(Box Anode)が特徴で12AX7系で最も高い評価がありヴィンテージは高価。特に人気が高いMullard製は音に粘りがありダイナミックレンジが広いことからオーディオ用途のみならず楽器アンプ用としても賞用されます。現行管でCV4004を謳っている物は通常品と明示的差異はありません。
④5751(差し替え△)
12AX7同等管として多く流通していますが、ヒーター定格が異なり(6V/0.35A or 12V/0.175A)、 μ(増幅率)とRp(プレート抵抗)が12AX7の約70%で厳密には異なる定格の球。ヒーター定格をクリアしていれば12AX7と置換可能です。力感はありませんがクリーンな音で使い易い球です。或る程度高い電圧で受けた方が良い音がするのでオーディオ用途ではパワーアンプ初段向き。
強化されたマイカ,コイルヒーター,リードの最短配線,強化ステムなどにより耐振動性を確保した12AX7のローノイズ管。色付けのない音で個性には欠けるもののフォノEQ,プリアンプに向いた球です。
⑥その他
2. 12AU7系
②ECC82,E82CC,ECC802S(差し替え〇)
③CV4003/M8136(差し替え〇)
いわずと知れた12AU7系最高グレード品。上記CV4004と同じBox Anode。他の12AU7系とは音質が異なり中域の倍音感が豊かで重心の下がった太い音。
5814は上記5751同様ヒーター電流が12AU7より15%程度高いことを除けば12AU7同等管といえます。米軍規格MIL‐E1に準拠した球で品質は良いですが、現行管で5814を謳っている物は通常品と明示的差異はありません。
④6189(差し替え〇)
12AU7の耐振管。音質的には若干細めながら繊細感があります。
⑤5963(差し替え△)
⑥その他
以上 大変簡単ですがご参考になれば幸いです。