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SV-P1616D/300B仕様 組立レポートその1(機構編)

このゴールデンウィークの総仕上げとしてSV-P1616D/PSVANE 300B仕様の組立を行いました。まず前編として機構編をお届けします。特定機種の組立レポートとしてでなく普遍的な内容も含まれておりますのでお役立ていただければ幸いです。
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マニュアルトップページ。プッシュプルアンプとしてはシンプルで経験の少ない方にもチャレンジし易い内容となっています。
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まずはパーツチェックと分類。特にネジ類は混同しやすいのでタイプ,長さ別により分けておくと作業能率は格段に向上します。
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最初は主電源基板の製作。実装は背の低いパーツから。抵抗→コネクター→ダイオード→電解コンデンサーの順にハンダづけしていきます。コネクターはリード挿し込み穴が基板の外側であることに注意します。
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続いて300Bフィラメント電源基板の製作です。これも主電源基板と手順は同じですが…
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セメント抵抗は基板に密着させず5mm程度浮かせましょう。こうすることで抵抗の発熱が抑えられます。
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続いて300Bハムバランサー基板です。予め基板を折って4つ別々に組んでも良いですが私はパーツ実装後に割ることにしました(基板は割れやすいように予め溝が切ってあります)。
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折角作るのですから抵抗の方向性も揃えておきたいものです。何日か前に書いた”神は細部に宿る”という言葉を思い出して下さい。こういう地道な配慮の積み重ねが最終的に良いアンプの完成に繋がっていきます。
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リード線の予備配線。正確に切り出してワイヤーストリッパーで7mm程度被覆を剥きます。
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リード線のハンダづけは写真の裏側から行いますがパターン側にもハンダが浸潤していることを確認しておきます。
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続いてはサブプレートAの組立てです。ここで注意するのはプレートの裏表があることと300Bソケットの方向性を間違わないことです。上の写真の右上の連結部のベロが段差状になっていることと300Bソケットの右側が大穴(1番/4番)であることに注意します。
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プレートを裏返したところ。こうやってみるとフィラメント側が大穴になっていることが分かると思います。
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300Bソケットに続いてハムバランサー基板とラグ板の取り付けです。
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こちらがラグ板側です。SV-Pre1616Dの組立レポート(前編)でも書きましたがナットの締め付けは是非ボックスレンチを使いましょう。強度,信頼性が格段に高まります。
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そしてサブプレートBへ移ります。基本的な手順は変わりませんがMT9ピンソケットを取付けたらピンを45度程度拡げておきます。ピンが抜け落ちて後で大慌てしてはいけませんから。
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サブプレートが終わったら出力トランスのケースを組み立てます。
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特に難しいところはありませんが、ここで使う”特平”というビスはナメ易いので先端の鋭利な1番プラスドライバーで締め込みます。ナメることを避けるがあまり緩めに締めると下側のLアングルがしっかり固定されずアンプが出来てからトランスケースがガタついてみっともないので意識を集中してミスのないように作業します。ちなみに上の写真を見ると線状の継ぎ目が見えますが、後々メインシャーシに取り付ける際に”継ぎ目は電源トランス側を向く”ことを覚えておきます。

続いてメインシャーシへのパーツ類の取り付けです。
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写真を注視いただくと分かりますがガスケット(パッキン)がシャーシ表側にくるように取り付けます。この段階ではFUSE本体は入れません。
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正面側のLED(パイロットランプ)です。リード出しのためボックスレンチが使えないこともあり、ここはどうしても締めが甘くなりがちです。後々緩まないためにモンキーレンチを使うか、締めたあと一滴接着剤を落としておいてもいいでしょう。
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主電源基板取付用スペーサー(M3×15)の取り付け。シャーシ上面からM3サラネジで固定する訳ですが、サラネジもナメ易いので仮止めしたあとは内側からボックスレンチでガッチリ固定する方が間違いがありません。
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この段階でチョークコイル,1L4Pラグも固定しておきます。ここからいよいよ重量パーツ類の実装が始まります。
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出力トランスを取り付ける際は向きに注意します。2次側(黒,黄,灰,青,緑)がリア側を向きます。少々くどいですが重いパーツの固定は特に注意して確実に行っていきます。注意したいのは次の工程。気分的にはトランスカバーを付けたいところですが、その前に300Bフィラメント基板固定用のスペーサーを忘れずに取り付けておきます。
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そのスペーサーの1本がアースポイントになっていますので歯付き座金(皿形)を忘れずに!ここが不完全ですと絶えず残留ノイズに悩まされることになりかねません。
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そして出力トランスカバー,電源トランスの取り付けに移る訳ですが、上面を養生しておきます。アンプに傷を付けないのは勿論ですが作業台を傷めない意味でも有効です。
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出力トランスケースを安定して取り付ける為、出力トランス本体が入っていた空箱を対角線側に置いてあげるとメインシャーシが安定します。続いてはサブプレートA,Bの固定作業です。
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まずサブプレートBから。続いてAを付けます。
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サブプレートAはメインシャーシから落とし込んであるため予めスペーサーを取り付けておきます。
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こういう形状のパーツを固定しようとする際、ネジを回すとスペーサーも回ってしまったり、スペーサーを回すとネジが回ったりで埒が開かない場合があります。こういう時はドライバーをストッパーにしてボックスレンチ側の締めるようにすると上手くいきます。
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サブプレートの取り付けが完了しました。続いて入力ボリウム,電源SW,スピーカーターミナルを固定します。
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入力ボリウムは回り止め付タイプですがナットはキッチリ締めこんでいきましょう。
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ついでにツマミもつけてしまいます。このツマミは六角レンチ仕様のイモネジ2本で強固に締められるタイプですがSV-Pre1616Dの時にも書いた通り厚めの紙一枚挟み込ませるとツマミ位置を決めやすいと思います。
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入力RCAピンジャックの固定。シャーシ上面からみて上側がL(白),下側がR(赤)です。写真は中側から見ていますが表側にも樹脂ワッシャーがあり、表側の樹脂ワッシャーは凸ワッシャー(段差あり)なので間違わないように注意します。ここも後々緩み易い部位ですので固定後に一滴接着剤を垂らしていくと安心です。
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電源SWは毎回言っていることですが出ジロをナットの厚みと合わせておくと見た目もバッチリです。
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スピーカーターミナルはワッシャ―2枚,歯付き座金2枚,板ラグ(M5)1枚,ナット2個で締めるタイプです。まずは1つ目のナットまで付けたところで確実に締め込んでおきます。
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その後2組目のワッシャー,ナットを追加する訳ですが総仕上げにラチェットをお持ちであれば確実に固定しておきます。
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板ラグは曲げておくと配線し易いので、この段階でやっておきましょう。
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はい、機構組立てが完了しました。申し遅れましたがACインレットは写真の向きに取り付けます。いよいよこれから配線作業に入っていきますが、機構編の最重要ポイントはアンプが大型になり重量が増すほどパーツ固定の確実性が求められることです。

今回はくどいほどネジの締め付けをしっかり行って頂くようお願いしましたが、これが出来ておらずに良いアンプ,良い音質を望むことは出来ません。時々私どもに修理依頼を頂いたアンプが戻ってくるのを拝見しますが、ビスの締め付けがユルユルでドライバーで何周も回ってしまう個体に出くわすことがあります。良いアンプはしっかりした機構組立から…皆さんのモノづくりの参考にになれば幸いです。後編も是非ご期待下さい。








by audiokaleidoscope | 2018-05-05 23:54 | オーディオ

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