美しい歪を求めて

今日は某アーティストのライブ会場へ。2300の客席を擁する大ホールはソールドアウト。全国70数か所のツアーを回ってきたギターアンプの状況確認のため現場に伺いました。
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聴く方(オーディオ)の世界で真空管は少数派ですが、演る方(楽器系)のアンプは圧倒的に真空管が主流…特にギターアンプにおいては殆どのプロが真空管ギターアンプを使っていると言っても過言ではありません。

それは何故か…まず音飛びが良い。これを”遠鳴り”と言ったりもしますが、沢山の楽器が爆音で音を出す大ホールのライブで、全体のバランスをキープしながら自分のギターの音を埋没させずにホールの隅々にまで浸透させる為には真空管以外の選択肢はない、とアーティスト達は異口同音に言います。言い換えれば音瘦せがなく煩さ(うるささ)を感じさせずにしっかりと音を飛ばすために真空管ギターアンプは必然の選択という訳です。

ホームユースにおいては”実体感”とか”生々しさ”とか”聴き疲れのなさ”等の言葉で真空管アンプの優位性を語ることが多い訳ですが、昨今はギターアンプだけでなくPA機器やレコーディング機器にも真空管が少なからず採用されるようになってきています。少々手前味噌ながら私どもはその先鞭の一つではないかとの自負もあります。このポストを読んで頂ければ昨日今日始まったことではことをお分かり頂けると思います。
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このアンプに使われているEL34は2011年の某ツアーに同行させて頂いた時にリプレイスしたままですので足掛け7年。少なく見積もっても数百か所の現場で酷使されながらも全くトラブルなく稼働してきています。むしろ聴くたびに音が良くなっているように感じます。特に電圧増幅段をオールMullardにしてからの音の粘りやコシの強さ、そしてなにより耐久性(信頼性)の高さは素晴らしいのひと言。今日の本番ではフルボリュームで3時間ガンガン鳴らしても全く腰砕けになる感じもなく余裕綽々という感じで鳴っていました。特にCVナンバーのMullardは楽器アンプの世界ではピュアオーディオ界以上に珍重されており、近年の相場の上がり方は目を瞠る(みはる)ほど。CV4004(12AX7)は一本300USドルを優に超える相場になってきました。

この仕事を通じてオーディオファン同様に演奏を趣味や職業にする皆さんとのご縁を頂くことが出来ました。そのお付き合いの過程で”綺麗なだけでない、活き活きとして生命力のある(鳴りの良い)音”の重要性を私が強く認識できるようになったのも今日のように”現場の音”に触れてきたことと大きな関係があるように思います。

ギターアンプ=歪ませてナンボ…と思われるかもしれませんが、ミュージシャンが如何に”美しい歪み”に拘っているか、それは私たちオーディオファンが自分の音を良くしようと日々行きつ戻りつしていることと何ら変わりはないのです。




by audiokaleidoscope | 2018-05-03 23:58 | オーディオ

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