Gibson破産に思う ~C to Cの功罪~
2018年 05月 02日
昨年末に八重洲のGibson Brands Showroom TOKYOが閉まるという情報が出た頃から囁かれていたことゆえ或る程度の予想はしていたものの、改めてこういう報道が出たことで噂が事実になったことを大変残念に思います。ただ事業自体は存続しつつ再建を目指すということですから一人のユーザーとしてGibsonには品質第一で本業に徹していただきたいと思っています。
報道で言われているように様々なブランドを傘下に収めたことで資金的に悪化した等の要因はあるのでしょう。私が聞いていたもう一つの要因は”C to C"の台頭にあるのではないかという話。
B to Bは企業間取引, B to Cは小売り。私どもの業態も基本B to Cである訳ですが、最近はC to C(Consumer to Consumer)が活発化、企業を経由しない商取引が激増したことで以前のようなモノ,カネの循環の在り様が大きく変化しているという話は頷けます。かつては(私も経験がありますが)、自分が所有していた楽器のグレードアップをする場合、楽器屋さんに行って下取りをお願いし、上のグレードの楽器を手にするという流れが一般的でした。単なる買取りよりも条件がよく店側も引き取った楽器を中古で捌けることでWin Winの関係性が構築されていました。
それがネットの普及に伴ってオークション等の個人売買の機会が増え、この20年で爆発的に市場が拡大したと言われます。楽器屋に下取りに出すよりも売価還元率が高く後でクレームをつけられるリスクも低い個人売買が急速に拡大するのはある意味当然でしょう。
オーディオにおいても同じことが言えます。私どもで言えば総出荷台数に占める二次市場(中古)販売の確率は非常に低いとよく言われますが、それでもこの数年で二次取得されたお客さまからのメインテナンス依頼は急激に増えています。なかには適正を欠く改造がされたうえ出品され買われた方が痛い目に遭うケースも散見されるようですが、私どもへ修理依頼を頂くものの大半は大きな問題がないケースが多いのは救いです。
新ホームページで下取り(買取り)を始めようと思ったきっかけはこれだけC to Cが増えているなかで安全,安心をきちんと担保する仕組みが必要であると考えたから。最初の取り組みとして私どもが組立を行い、法に定める検査を経たものが二次取得のお客さまのお手元で安心してお使いいただけることを目指しています。
家電やオーディオでも愛機を修理に出そうとすると”新品買った方が安いですよ”とか”新しいものの方が性能が格段に上ですよ”と言われたことが皆さんにもあるかもしれません。一方で’59年製のGibsonレスポールが何千万とかWestern Electricのアンプが何百万というのは裏返せば品質がきちんと維持されていればこそです。
中古=品質不明になっては意味がありません。今後もC to C化は更に進んでいくものと思いますが私どもは敢えてC to B(適正な商品循環)のメリットに立ち返って自社製品の品質と皆さんの安心を更に高めてきたいと考えています。既に”SV-〇〇の中古が入荷したら直ぐ教えて下さい”というお申し出を幾つも頂いています。もしお手元で使われることのないサンバレーアンプがあったら是非お知らせ下さい。私どもできちんとメインテナンスされた個体を待っている方が沢山いらっしゃいます。
今のところご要望があるのは…




