今日届いた”出来ました!”レポート。メールの主はIさん…昨年11月にアンプ初組立にしてTU-8600SVを見事制覇した若者です。この時のことは万華鏡にも書きました。
そのIさんがSV-Pre1616Dで初手配線にチャレンジされ無事完成されたという内容…よかったなあ、と思いつつ添付写真を開いてみて正直驚きました。これが初手配線の仕事か!?…というレベルの仕上がりです。

特にラグ板周りの整然としたパーツレイアウト。抵抗やコンデンサーの並び方ひとつ見てもIさんが如何に緻密にモノづくりされたかが一瞬で伝わってくる力作です。
こういう美しい作品をみていると思い出すのが近代建築の巨匠ミース・ファン・デル・ローエの”神は細部に宿る(God is in the details)”という言葉。別にコンデンサーの高さが不揃いでも、抵抗のリードが曲がっていても特性や音質に影響がある訳ではありませんが、Iさんのように”せっかく作るならキチンと美しく”という想いがこちらにも伝わってきます。
そしてIさんはプリ製作の傍ら初のスピーカー自作にも挑戦されたとのこと。これがまた凄い!


詳細は分かりませんがIさんのメールには
スピーカーユニットはフォステクスのFE108EΣというモデルです。
エンクロージャの設計は難しいのでユニットの付属説明書の工作例をそのまま作ってみました。
とのこと。逸材という言葉がありますが、こういう方もいらっしゃるだなあ…という畏敬の念も含めご紹介させて頂きました。私に関して言えば最初の頃はIさんのようには全然いかず相当苦労したものです。上手くいかなくて天を仰いで苦悶の声を漏らしたことも数知れません。
そういえば大昔、私が電気の知識も殆どない頃に或るメーカーの真空管アンプキットを買った時のこと。届いてみると組立マニュアルはなく回路図一枚のみ…これで組めるのか?と思いながら悪戦苦闘して出来たもののどうも変。でもどこがおかしいかも分からないので腹を決めて買った東京の店に電話で問い合わせてみました。そうしたらその電話口に出た方のひと言、「お客さん、本当に作ってやろうと気持ちがあれば絶対出来る筈ですよ。もう一度見直してごらんなさい、人に頼る前に。」…いま思うとこの強烈なひと言があったから今この仕事をしているのかもしれません。
今こんな対応したら直ちに強烈なバッシングに遭うに違いありません。しかしこれは自分の為の趣味の営み…きっと”頑張れ!諦めるな!”という同好の士へのエールだったのでしょう。そのアンプは今でも大切にしています。配線は笑っちゃうほど下手ですが、或る意味自分の歴史でもあるので敢えて修正せずそのまま使っています。
いまキットを組み立てながら苦労されている方もいらっしゃるかもしれませんが最後まで諦めずに頑張って下さい。登る頂が高いほど頂上を極めた感動も大きい筈ですから。