オーディオを長持ちさせる方法

皆さんのオーディオは何歳ですか?…”今月買ったばかりだよ”…という方もおられれば”もう30年以上愛用してます”という方もおられることでしょう。今日はどうすれば愛機を永く良い状態で使い続けられるか?という内容です。

先日、大分のKさんからこんなご相談を頂きました。

「本日はMIDについての相談です。本機はこれまで普段あまり使用していない住宅に置いていました。
そのため、空気の入れ替えなどがあまりできていなくて、梅雨時期などエンクロージャーやサランネットにはほぼ毎年のようにエンクロージャーの表面にカビが生えておりました。そのときには、本体からは独特の匂いも出ておりました。その後も幾度かカビが表面に見られていたのですが、昨年初秋に高音のレベルがやけに低くなったため、後ろにあるアッテネーター(?)のつまみをまわして調整を試みたのですが、固まってまったく動きませんでした。「もしや」と内部を想像するとゾッとなりましたが、この間は家の改装で音出しもままならず、また年度末で多忙だったため、本日ようやく裏蓋を開けてみた次第です。

案の定でした。ユニット本体やユニットの取り付けねじ、サランネットの固定用の打ち込み針、アッテネーター等々、金属部分はほぼすべてボロボロに錆びまくっておりました。もちろんアッテネーターはさび付いて全く動きません。今日は時間もなく、また音を聞くのも怖くて、音出しはできておりませんが、たぶん想像の通りだろうと思っております。今回、MIDを別の自宅に招き入れることになっているのですが、これではどうにもならないという状況です。(エンクロージャーの内部の材木はとてもきれいでした。)そこで上記「件名」にありますように、メンテナンスというか、関係部品の交換(おそらくスピーカーユニットまで交換の必要があるかもしれません)やフルクリーニングのようなことができますでしょうか。」

という内容です。MIDは私どもが手掛けたスピーカーのなかでも最も大型のモデルで使って下さっている皆さんも深い愛着を感じて下さっている方が多い記念碑的な製品です。安曇野の家具職人さんが一点一点仕上げた手作りのスピーカーだったこともあり、Kさんも何とか復活させたいと思って下さったのだと思います。

ただネットワークの接点が固着するほど錆びついてしまったとすると接点の洗浄だけでは恐らく無理で、ネットワークのCRパーツも絶縁不良となっているでしょうし、スピーカーユニットのボイスコイルも断線あるいはショートしている可能性が高いでしょう。仮に音が出たとしても早晩致命的な故障となる可能性が極めて高いと思われました。

KさんにMIDをお納めしたのはまだ7年前。では僅か7年でどうしてこのような状態になってしまったのでしょう…一つは空気の循環の悪い、締め切った空間に長く置いていたということがあります。空気の対流がほとんど無い空間で結露と乾燥が幾度となく繰り返されれば当然接点は酸化しますしパーツには水分が浸潤して急速に劣化します。Kさんの落胆は想像に難くありませんが幸い保守していたユニットによって完全復活の日も近いことと思います。
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私も正直ムリだろう…と思っていたのですが幸い1ペアのみストックがありました。保存状態がよく完全な状態であることが確認できてホッとひと安心。

実はアンプでも同じことがあります。真空管アンプでいえば一番早く劣化するのは真空管…そう思われる方が少なくないでしょう。もちろん設計にもよりますが適切な余裕をもった設計のアンプであれば真空管の寿命は極めて長いものです。では一定期間の使用で必ず交換対象になる部品は何か…答えは電解コンデンサー(ケミコン)です。パーツには”絶対寿命”という考え方があります。これは使用の有無に関係なく最長でどの程度のライフを持つかという指標ですが、1920年代の真空管が今でも流通しているのに対し、電解コンデンサーが製造当初の性能を有しているのは長くて20年と言われています。スピーカーでいえばウレタンエッジがやはり15年~20年です。

なかには”私のアンプはもう20年以上使っているけどケミコンを替えたことないですよ”と仰る方がいらっしゃるかもしれません。ポイントはここ…オーディオは使うことで長持ちするのです。コンデンサーはそれぞれキャパシタンス(容量)を持っています。100uFとか10000uFという値が容量ですが、電解コンデンサーは充放電を繰り返すなかで少しづつキャパシタンスが減っていきます。たとえ話で言えば買った時に350mlだった缶ビールを後で飲んだら200mlしか入っていなかった…というような事が起こる訳です。それを防ぐ一番の方法は電解コンデンサーのチャージ(充電)をなるべく常時満タンにしておくこと、これが実に大切なのです。

よくあるのが昔買った真空管アンプを30年ぶりに押入れから出して聴こうと思ったら全然ダメだった、というのは長時間に亘って電解コンデンサーのチャージが空っぽになっていたことで元々のキャパシタンスが大幅に下がって所期の性能が得られなくなっている可能性が高いと考えられます。真空管は20年や30年放置したところで機械的故障なければ性能は全く変わりません。

ではどうするか…複数のアンプをお持ちの方は一週間に一度程度で十分ですから短時間(それこそ1分でも構いません)ので電源を入れて下さい。それだけで電解コンデンサーが満タンにチャージされてキャパシタンスが落ちることを避けられますし通電されることで各パーツが活性化され、長じては性能の維持に大きなメリットがあります。

出来れば短時間でも聴いてヴォリュームだけでなく入力セレクター,トーンコントロール,ラウドネス,スピーカーのA/B選択スイッチ等…ありとあらゆる可動部分を動かして下さい。その繰り返しが接点を健全に維持しガリオームや不快な切替時のノイズから私たちを解放してくれることでしょう。もちろん聴かない時にもずっと真空管アンプを通電しっ放しというのはナンセンス。乗らない車のエンジンを掛けっ放しにしてもガソリンが無駄なだけです。要は乗らない車でも時々エンジンを掛けてオイルを隅々まで行き渡らせることが重要なのと同じです。

結論、オーディオ機器を長持ちさせたいなら日々使うこと!…これが一番です。使ってこそのオーディオ、聴いてこその音楽。KさんのMIDもユニットが新しくなって今後20年,30年と美しい音楽を奏でてくれることでしょう。皆さんも暫く使っていなかったアンプに灯を入れてあげて下さい。きっとアンプが喜ぶと思います。




by audiokaleidoscope | 2018-04-25 18:35 | オーディオ

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