先週メーカーから出荷開始とアナウンスのあった
TU-HP03。早速試聴してみることにしました。もちろん興味のポイントは
TU-8150SV同様オペアンプ交換による音質の変化です。

個人的にはHP01の角R仕上げも好きだったのですがHP03は回路的にも音質的にも拘ったグレードアップモデルとして人気を得ることでしょう。音質評価にあたって音源の品質を重視しSOWND WARRIORのCDトランスポート,D/Aコンバーター,マスタークロックを用意しクロック同期した状態で固定することに。

SOUND WARRIORがCDジャケットサイズですのでHP03のコンパクトさをご理解頂けると思います。

これがケースを外したところ。2つ窓が開いていて上がオペアンプ、下がRaytheon:JAN6418(サブミニチュア管)です。

これが6418…ソケットレスの電池管です。機器の小型化に伴って一時期多用されましたが今はほとんど見ることがなくなりました。出力部の配置されるオペアンプは製品標準がJRC 2114。TU-8150SVと違って何故2個使いなの?…と思われたかもしれませんが、元々1個で済む2回路オペアンプを並列(パラ)接続することによりドライブ能力をアップし(電流が倍)、さらにオペアンプを左右別にすることでセパレーションが向上とメーカーは説明しています。つまり電流増幅能力をアップすることで音質,特性の両方を向上させている訳です。

これが標準の2114です。
以前書いたことがありますが、オペアンプにはバイポーラとFET(入力)の二種類があり音質的にかなり異なります。パイポーラはカッチリしていて力感があり、FETは繊細で響き豊かと覚えておかれると良いと思います。今回は代表的なオペアンプから幾つか選び、真空管アンプユーザー向きのオペアンプはどれだろう?…そんな目線で比較試聴を行うことにします。
因みに使ったイヤフォン/ヘッドフォンはいずれも人気モデルでカナル型:
SHUREのSE535とオープンタイプ:
AKGのK701(変換プラグ要)を中心に使用。インピーダンスの違いによる音質変化も確認。ちなみにHP01では適合しなかった4極プラグにも対応しています。試聴時はゲイン:Hi,ヴォリュームは10時の位置に固定しています。
脚を曲げないように細心の注意を払いながら、比較試聴に使ったオペアンプは…





で行いました。ここであれ?と思われた方はかなりの通。TU-8150SVであれだけ評価の高かったMUSES 01は何故登場しないの?…これには訳があります。どこかでメーカーも発表しているとは思いますが
HP03で使えるオペアンプは動作電源電圧:Voprの下限が±5V弱(推奨)。対してMUSES01は±9V以上とされています。恐らく音は出ると思いますが最適動作にはならないことに注意が必要です。
それぞれの音質傾向はメモってありますが長くなるので結論から先に申し上げると
MUSES 8920, OPA 2604, MUSES02が抜きんでて良かったと感じます。8920の高域の鮮度、OPA2604の艶やかさ、MUSES02の見通しの良さは特筆に値するものでした。
ヘッドフォンでの結果が良かったので興味本位で本線系に接続。SV-192PRO,SV-192A/DとSOUND WARRIORのDACとHP03を繋ぎ替えます。変わったのはマスタークロックが
MC-3+USB、外付け10MHzクロックが
Ref10。トランスポートは
TL3 3.0です。

HP03が入力1系統のバッテリードライブ真空管プリに早変わり。ここではゲイン:LoにしてMUSE 02で聴いてみます。値段10倍弱のSV-192A/Dと比較するのは酷ですが十分な音場感が感じられます。誰もが聴いたことがある
グールドのゴルトベルク変奏曲(トラック1)ではグールドの唸り声がピアノと分離してLchのやや下方に浮かぶ感じも再現され、リニアリティも十分であることが確認出来ました。単にポタアンとしてだけでなく音源チェック用の最適なツールになるかもしれませんね!
オーディオの主役がスピーカーであるようにヘッドフォンアンプは選ぶヘッドフォンによって傾向は随分変わると思いますが、オペアンプの違いを明晰に描き分ける良質さと使う楽しさを秘めた新製品であることは間違いありません。是非お試しを!!