(1/4)USA仕様(120V)を日本(100V)で使うと…

新年あけましておめでとうございます。2018年はキット屋創業20周年の記念すべき年。素敵なアニバーサリーイヤーにしたいものです。

今年の初詣は京都,奈良まで足を伸ばし、ゆっくりさせて頂きましたが今日は横浜のUさんがアンプ持参でいらっしゃいました。Uさんのアンプはアメリカ製の1950年代の6L6プッシュプル。整流管は5U4Gです。
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ご相談の内容は”小さい音なら問題ないものの、出力を上げると明らかに音がおかしい”というもの。”ステップアップ(昇圧)はどうされているんですか?”と伺うと”何もしていません。購入したショップでは100Vで使って問題ないと言われました”とのこと。この手の過誤は今までも何度も見てきました。

音が出ることは事実ですしショップとしても電源電圧が違うから別に昇圧トランス(100V:115V)が要るといってお客さんに敬遠されることを恐れて特に何も言わない場合があるのかもしれませんが、音は出てもそれは本来の音でなく性能的にもかなり劣った状態であることは申し上げておかねばなりません。ハイオク指定の車に無理やりレギュラーガソリンを入れて乗っても本来のパフォーマンスが引き出せないのと同じです。

真空管は3つの電源によって増幅動作を行います。A電源(ヒーター),B電源(プレート),C電源(バイアス)すべてが定格値から10数%も下がった状態で動作させても理想的な状態とは到底言えません。実際Uさんのアンプを100V入力で動作させてみるとヒーターもプレートも回路図記載の値から相当低い状態です。試しにこの状態で波形を観測してみると…
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1W(2.8V出力)時の波形。これは特に問題ありません。
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12.5W(10V出力)時の波形。公称30W/chのアンプが10W強で無残な歪を発生させています。アンプ自体のメインテナンス状態が不明ですが歪み方も上下非対称で各増幅段のバランスも崩れている状態であり、アンプの個体差を加味してもこれは正しい状態とは言えません。写真を撮り忘れましたがスライダックで一次側を115Vに上げた状態で測定してみると28.5W程度まで出力が伸びましたので、Uさんの悩みは電源電圧を適正化することで解消されるものと思います。

あと一つ蛇足ながら付け加えると、電源を昇圧する場合仮にアンプの消費電力が300Wだと仮定するとトランスは500W以上が好ましいといえます。言い換えれば実消費電力の1.5倍以上のトランスが必要ということですね。電源はアンプの全てのエネルギーの源。案外盲点ともいえる問題でもあります。ケーブルやインシュレーターに凝る前にまずは正しい状態で機器を使ってあげたいものです。



by audiokaleidoscope | 2018-01-04 22:14 | オーディオ

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