(11/30_2)「真空管ファンもびっくり!オペアンプ総まくり比較試聴!!」
2017年 11月 30日
一方で古くから真空管アンプを愛用してきた人たちにとってオペアンプというのはあまり馴染みがありません。ディスクリート(ICのようにパッケージ化されず抵抗やコンデンサーなどのデバイス個別の部品を個別に組合わせて作成された回路)の文化で育ってきたということもありますし、ICのウエーハはシリコン(半導体)で出来ており信号経路もシリコンのため、より純度の高い銅線でシグナルパスが構成されるディスクリートよりも音質的に劣る…という神話めいた刷り込みもあってヘッドフォン回路等で一部オペアンプを使用することはあっても本線系で私どもの製品に搭載したことはありませんでした。
では今回なぜオペアンプの比較試聴をやってみようと思い立ったかというと今年の2月に販売開始されると同時にコラボモデルとして発売したTU-8150SVの初段にオペアンプが搭載されていて、これを交換することでアンプが別物になりますよ!とメーカーから情報が入ったから。12AX7-6V6の構成で不足するゲインを入力部にオペアンプを配置することでカバーするというのはエレキットならではの手法ですし、私自身は意図的にこの領域のお話は見て見ぬ振りをしてきた部分もあったのですが、食べず嫌いは良くないだろうと思いサンプルを入手。試してみたら或る意味、出力管を換えたりカップリングコンデンサーを換えると同じ位の変化が現れて誰よりも自分自身が一番驚いた!というのが本音でした。そこで急遽番組を企画し皆さんに実際の音の変化を聴いて頂こうと思い立った訳です。
今回用意したオペアンプは9種類。
因みに上の写真の右二つは参考出品でMさんが持ってきてくださったもの。通常2回路のオペアンプを使うところ、アダプターを介して1回路のオペアンプを二個搭載するというJRC VS TI/BBの”頂上決戦”も実施されました。アンプで云えばステレオに対してデュアルモノーラル。①~⑨まで換えるたびにドンドン音が変わり、価格があがるごとに音の品位が向上する様子を是非多くの方に体験して頂きたいと思います。
テストソースは二種類。
いずれも音質確認に最適なオーディオマニア必携の2枚を用意しました。大きく言うとJRCは極めてリニアリティが高く癖のなさが魅力。バーブラウンは低域の量感があって中域の上(2kHz~5kHzあたり)のレスポンスを僅かに落として高域のニュアンスを際立出せているような意図を感じました。
圧巻はJRCのオーディオ向けシリーズ”MUSES”の01~03。個人的には真空管アンプの本線系にはFET入力の01が大変気に入りました。Tさんは収録後すぐに秋葉原に走ってMUSES03を買いに走ったそう(笑)。実際量産機のハイエンドものでも⑤以降を使っているのは稀で特に⑥以降のオペアンプを使っているのはプレミアムグレードの製品に限られます。それを精々数千円で私たち自身が交換して音を楽しめるというのはある意味極めて痛快なこと。収録中にも三人で”これは間違いなく流行るね!”と言っていましたが、それくらいの変化量のあった実験でした。
今回の収録を通じて私としてはこの音の変化を多くの真空管アンプユーザーとも共有したいという想いに駆られました。数量は限られますがTU-8150SVをご購入のお客様にMUSES01辺りを無料でお付けするようなことが出来ないか…なんて考えています。それほどの気づきを与えてくれたオペアンプ。スペシャルゲストのMさんには心より御礼を申し上げたいと思います。