きっかけは一ヶ月ちょっと前。Fさんから”真空管アンプに関心がある知り合いがいるので相談に乗ってくれない?”と言われて初めて会ったのは。
最初だから基板アンプの方がいいかなと思い、
TU-8150SVと
TU-8200SVそして
TU-8600SVから気に入ったものをお奨めしようと考えていた私。自分の中では価格と出力とプリメインという形式からTU-8200SVが最右翼かと思っていたのですが、実際会ってお話を伺ってみると”真空管アンプは初めてで全く経験もないんですが、せっかく作るなら良いものを…”と仰ってTU-8600SVで即決。カップリングをJENSENにアップグレードして初段は現行球ナンバー1の誉れ高い
Gold LIon ECC83に替えて完成しました!と連絡を頂いたのは直後のことでした。あまりのスピード感に少々びっくりしながらも完成祝いを兼ねてお披露目試聴会を第二でやりましょう!と連絡申し上げ、今日を迎えたという訳です。
Iさんは私より多分ひと回り以上年下の若者。アンプを持って来られてお話を伺うと”もう待ちきれなくて着いたその日に作ってしまいました。初めてでしたけど大丈夫でした!”とのこと。鳴らす前に健康診断しましょうか…ということになり簡易測定をすることにしました。
これがIさんの初めての真空管えらびのターゲットとなったTU-8600SV(JENSEN銅箔仕様)です。完成の感動と歓びはまさにプライスレス!
まずは残留ノイズ測定から。3mVレンジで左右とも測定した画像ですが両chとも0.3mV(未満)という素晴らしい結果。
続いて波形確認。正弦波入力で画像は5W出力時のもの。ほとんど無歪みといえる波形で左右ゲインもピッタリ揃っています。写真を撮り忘れましたが方形波応答も極めて優秀でした。正直いって最初にメーカーサンプルを預かって測定した時以上のデータです。しかしまだ100時間も鳴らしていないということで、これから更に良くなっていくものと思われます。
第二はどちらかいうと”響き系”の鳴りようですが、Iさんはジャズをアナログで楽しみたいそう。スピーカーはJBLをイメージしているそうですが、早くもターンテーブルやフォノイコの選択にも興味津々で矢継早に質問を頂きました。しかし自分の経験から言うと最初から何十万もアナログ機材に投資するより中古でいいからLPをたくさん聴いて、本当に自分の目指す音や好きな音楽が分かってから装置のグレードアップを検討されてもいいんじゃないですか…と申し上げました。音楽とオーディオは両輪。機器をグレードアップするのは何時でも出来る、その前に音楽を聴く歓びと感動をたっぷり養って欲しいなあ、と思います。私にとってはそれはLPではなくて当時のCS-PCM(いまのMUSIC BIRD)でしたが。
Iさんの初めての真空管アンプえらびはTU-8600SV(JENSEN仕様)で完結し結果的には大成功だったといえます。私どものミッションはIさんのような方が一人でも多く増えるよう頑張ること。残念ですがTU-8600はメーカー在庫も終わりに近いらしく最後の30台を確保させて頂いてこれでお終いのようです。
Iさんのように果敢に挑戦すれば必ず完成出来る真空管アンプ。年内で完売になりそうな勢いですが初めての方からマニアのサブ機まできっと期待に応えてくれる名機の一つだと思います。本当に楽しかったIさんのお披露目試聴会でした。