(9/18)クラシックは生に限る・・・か?

昨日の台風は当地でもかなり激しく、築90年の母屋が倒れるのではないか?・・・と気になって夜中に何度も目が覚めるほどの猛威。幸い庭木の枝と盆栽の鉢に多少のダメージがあったものの何とか通過。会社も大丈夫・・・と思っていたらエアコンの室外機が転んでますよ、と連絡。やっぱり相当の勢いだったんだな、と。私が子供の頃、日本は温帯だと習ったけど、たぶん既に日本の気候は半亜熱帯。昨今の雨の降り方はまさにスコールのよう。これから先、地球の温暖化によって何が起こるのか・・・少し不安になった今回の台風。

そんな台風一過の今日、久しぶりにCDのご紹介。真空管アンプで音楽を聴く方の多くはジャズやクラシックを多少なりとも楽しまれる筈。ただクラシックはヤッパリ生の方が良い・・・という方も少なからずいらっしゃるかも。かの五味康祐先生が名著「オーディオ巡礼」の冒頭で、

”あのほそい針先で、そのフォルテを拾おうというのもどだい無理な話である。また、より高忠実度の再生音を念願するにせよ、音の発源体となるのがせいぜい一五インチ程度のスピーカーであってみれば、これまた多くを望むほうが無理だろう。結局、どこかで処理された、あるいは取捨選択された音を、生らしく聴くことで我々は我慢しなければならない”

と書き、後に菅野沖彦さんをして

”オーディオには上手に嘘をついて欲しい”

と言わしめた、その限界と寧ろ逆説的な意味での可能性に賭ける私たち音楽愛好家の性(さが)を以ってしてもクラシックを生々しく、ホールを彷彿させる雰囲気で愉しむのは経験と感性の両方を必要とするかも。そしてクラシックは録音も千差万別。トーンマイスターの誰々が録音したと喧伝される音源が必ずしも名録音と限らない。

そんななか、極めて自然な音場感と音色の素直さで全くと言って違和感なく、何度も聴き直したくなるCDと最近出会った。メジャーレーベルの量産CDではない。恐らく数百枚しか打たれていない、恐らくはホール自主制作のライブ録音。これが実にいい!
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名古屋の「宗次ホール」でのライブレコーディングで販売店のレビューによれば

”2017年4月15日。名古屋栄宗次ホールで画期的なコンサートが開かれた。モーツァルトのピアノ協奏曲第23,24,25,26番の連続演奏会。まあ、それならありえない話ではない。しかし今回の編成は、イグナツ・ラッハナー編曲による「弦楽四重奏とコントラバス」によるピアノ六重奏版。

(中略)


バックを務めるアンサンブルのリーダーは平光 真彌氏。第1回宗次ホール弦楽四重奏コンクール第1位。愛知室内オーケストラのコンマス、春日井交響楽団の客演コンマスを務める実力派。音楽のツボを絶対はずさない「泣き泣き」のソリストでもある。今回も五島 史誉のピアノにピッタリ寄り添いつつ、ときには「これはヴァイオリン・ソナタか!?」というような美しい見せ場も作ってくれる。


さてその4/15の演奏会のうち、今回23番と25番が宗次ホール・レーベルとしてCD化された。モーツァルトの音楽を奏でる五島 史誉の典雅なピアノに酔いしれるもいいだろう、平光軍団の絶妙なアンサンブルに心揺さぶられるのもいいだろう、ラッハナーの「モーツァルト愛」に貫かれた精妙且つ優雅な編曲に心奪われるのもいいだろう。
(後略)


このCDを聴いて特筆すべきはピアノと弦の(特に高域の)美しさ。全くデフォルメがなくクラシックCDにありがちな過装飾(オーバーレゾナンス)な感じが些かもない。少し大袈裟に言えば眼前にホールのステージが出来(しゅったい)する。恐らくはホール備え付けのコンデンサーマイク一本によるワンポイント録音。だからこそか、演奏者たちを斜め上から俯瞰するような極めて自然な音色と音場。そして録られた音そのままで変に弄られていないからか(実はこれがとても大事)、各楽器の質感が極めて生々しく、そして直接音のリアリズムと残響のバランスのニュートラルさが素晴らしい。

地元の若手演奏家が実力派ピアニストに寄り添って美しく音楽を描く・・・実に清々しく心地よい音楽体験が生演奏と同じレベルで・・・そして何度でも体験出来る。これはオーディオならではのマジックであるに違いない・・・そう心から思えた空気の澄んだ初秋のひと時だった。


by audiokaleidoscope | 2017-09-18 22:03 | オーディオ

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