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(4/15)オーディオの夢、ふたたび

土曜は調布のYさんと一緒に青梅のH邸へ。Hさんは先の東京試聴会(2月)を機に交流が始まった方で、試聴会後のご感想をブログでご紹介させていただいたところ、"はじめて音を聴いてここまで本質に迫るコメントが出せるとは!!"と多くのフィードバックがあり、私も一度お目にかかりたいものだ…とずっと思っていたのです。

その後メールで何度かやりとりさせていただいたところ、JBL 4344を使っておられて"出来れば真空管アンプで手合わせしてみたい"と仰るので91B/PSVANE WE仕様SV-8800SE/KT150仕様を持って持込み(押しかけ)試聴をさせて頂くことに。そして4344はチャンネル・ディバイダーを使用した本格的なバイアンプ化も可能であることから同じくJBLスピーカーをパッシブバイアンプドライブされているYさんもお誘いしたという訳です。

さすが東京は広い!三軒茶屋のホテルを出てH邸まで2時間半。週末ということもあり高速も混んでいましたが、関東山地と武蔵野台地にまたがり中部を多摩川が東流する閑静な素敵な町並みに魅了されました。目指すH邸に到着。あの素晴らしい文章を書かれる感性は酸いも甘いも噛み分けられた大先輩に違いない…とYさんも私も想像していたのですが、なんと40代の方でYさんも私も余計に驚いた次第です。
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アンプの搬入が終わったところ。プリは懐かしいSV-14LB。パワーアンプは複数お持ちですが、いずれも半導体でした。Hさんが日頃聴いておられる音源で現状把握をさせていただいたところ、この手のマルチウェイでよくあるトラップ・・・Hさんがこれまで様々なトライをされてきたことが直ぐ分かりました。

音源もいろいろです。高域が伸びているもの、中域が張り出しているもの、低域の量感に溢れているもの…全ての音源を完璧に鳴らせる装置というものは一つもありません。そして部屋の環境・・・100Hz前後に小さくないブーミングが発生していて中高域をマスクしていた部分も影響していたと思われます。その結果、特にハイ(2405H)とミッドハイ(2425J)のレスポンスが若干低めでミッドバス(2122H)フルレンジに薄く高域を加えたような鳴り方になっていました。加えてウーハー(2235H)は小音量ゆえ制動されている領域にまで踏み込めていない…高能率スピーカーシステムを半導体アンプで鳴らした際の難しい側面がそのまま音に現れている状態でした。

Hさんには正直に今の状態は4344の持ち味を出し切っているとは言えないことをお伝えし、失礼かもしれないがバランスを少し変えさせて頂きたいと申し上げたところ、"ぜひ!"と仰って下さったのでハイとミッドハイをそれぞれ1~2dB上げさせて頂きました。もちろん真空管アンプであればこれでも決して耳障りにはならないという勝算あってのことです。

このバランスで一旦固定し、まずは91B。三極管シングルならでは音場の拡がりと繊細なニュアンスを楽しんで頂きました。先ほどまでの抑制された音から一気に血のめぐった生気あふれる音への変化にHさんも気づかれ4344の極めて高いポテンシャルに目を細めていらっしゃいます。特に上松美香(Mika Agematsu)のアルパのしなやかさと奥行きの変化は極めて大きなものでした。

続いて8800SEでは一気にローエンドの音の形が見えるようになり音のシャープネスが一段と明確に。内声部の密度感は91Bに僅かに劣るものの、いわゆるJBLらしい闊達さと力強さが増した印象です。Yさんも"もし一台アンプを選ぶなら8800SEの方が4344らしいかもしれないですね"と仰り、私も同感であることをお伝えするとHさんは91Bの中高域の質感も捨てがたいと仰います。ならばウーハーは8800SE,ミッドバス以上は91Bで帯域分割して鳴らすマルチアンプドライブをやってみませんか!という話に。偶々Hさんが随分前にお求めになっていた4343/4344専用チャンデバをお持ちでしたので、それを使い1980年代わが国のオーディオファイルが皆あこがれたJBL43系アクティブバイアンプにチャレンジすることになりました。

チャンデバを使った本格的バイアンプの最大のメリットはマルチウェイスピーカーの音に最も悪影響を及ぼす低域/中域以上を分割するために不可欠なクロスオーバー素子(インダクタンスの大きいコイルやキャパシタンスの大きいコンデンサー)が除去できる点にあります。特に4344のようにクロスオーバー周波数の低い(公称320Hz)という低い値で帯域分割しているスピーカーほど効果は覿面といえるでしょう。つまりウーハーを介在物なしにダイレクトにドライブすることによる音質改善がマルチ最大のメリットである訳です。

更に言えば通常の接続では帯域分割された中高域は絶えずアンプの大半のエネルギーを消費するウーハーによって一種の変調を受けているともいえ、結果として電気的な歪みの増大,聴感上の曇りの発生を招く訳です。その原因を根本的に解決できる点においても極めて合理的です。

背反事項としてはネットワークがリアクタンスを持つことで一種のノイズ吸収効果を期待できるのに対し、マルチアンプは原理的にパワーアンプとスピーカーのボイスコイルが直結されることによりアンプの残留ノイズの影響を受けやすいことが挙げられます。特に真空管アンプを使ったマルチアンプではアンプ自体のSNが良いものを選ぶことが重要になります。

そんな説明をしながら中高域:91B,低域:8800SEという何とも贅沢なバイアンプシステムが出来上がりました。
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その感想はHさんから頂いたメールの文面を以って説明に代えるのが適切かもしれません。

91B+8800SEのバイアンプの音は圧巻でした。しっかりと芯が通りつつ、
音の広がりも確保出来る、まさに理想の組み合わせですね。大橋さんから
「4344のバイアンプ駆動は80年代は誰もが憧れるひとつの到達点と言われ
ていた」といったお話がありましたが、現在4344を使っている私にとっても、
近い将来、是非到達したい音だと思います。

Yさんは当日武道館でノラ・ジョーンスのライブを楽しまれるということで駅までお送りする途中、「これだけの変化があるとは正直思っていませんでした。楽しかったですね」と仰って下さいましたが、実はあれこれ弄らさせて頂いた私が一番楽しませて頂いたひと時であったかもしれません。私も嘗ては5ウェイのフルマルチシステム(モノアンプ×10台)で悪戦苦闘したクチですが、こんなところで当時の経験が活かされるとは思ってもいませんでした。機会あれば是非またお邪魔させていただきたい、素晴らしいオーディオの夢が詰まったH邸でありました。



by audiokaleidoscope | 2017-04-17 01:49 | オーディオ

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