朝4時半すぎに家を出て東京へ。ノリウチ(現場入り当日の本番のこと)のキツさを感じた今日の収録でした。一時はどうなるか…と思った二本録りでしたが無事終了しました。
何が大変だったかというと一本目"世界最初期の真空管アンプを聴く"というテーマで持ち込んだウエスタン20年代のアンプ。スタジオで接続してみると…
手前のWE7Aが元々ハイインピーダンス仕様(現代の真空管アンプが数Ωの負荷を想定しているのに対し、7Aはマグネチックホーン用アンプのため出力が4k~10kを想定している)なのでスタジオのミキサーとインピーダンスマッチングが取れず、再生音が本来のものとかけ離れて泣く泣く断念。7Aの出力端に10kΩの抵抗をターミネイトするなど色々やってみたのですが、残念ながら今回は見送ることにしました。またチャンスがあれば本来のマグネチックスピーカー(518Wあるいは540AW)の前にマイクを立ててアコースティックに録音したものをオンエアで使えればと思います。
急遽代打で登場したのが上の写真奥のWE95A。このアンプはWE91AやWE86Bの600Ω出力から信号を貰い、当時映画館の映写室でモニターアンプとして使用されていたものです。これも1920年代の個体。
当時95AはTA4189という励磁タイプの8インチフルレンジスピーカー(インピーダンス7Ω)を使用していたので、これなら使える筈と思いテストしたら無事いい音で鳴ってくれました。残留ノイズが多めでリスナーの皆さんにはお聴き苦しい点もあるかと思いますが、オリジナルWEアンプの音を聴ける機会は滅多にないと思いますので、是非3月前半の回をお聴き頂ければと思います。
7Aが使えないこともあって予定が大幅に狂ったこの回。しかし転んでもタダでは起きない我がチームが急遽繰り出したのが新作ターンテーブル(試作)をオンエアで聴いていただこう!という奥の手でした。欧州から届いたニューカマーです。
・カートリッジは60年代のSPU-G。通称"プラシェル"と呼ばれているそうです。このプレーヤーのキモはベルトドライブであること、ユニバーサルアームであること。価格的に妥当であること。この三つのポイントを満たすべく、現在も様々な検証を行っている真っ只中である訳ですが、最も重要な音質を聴いていただく機会になればと思い敢えて収録で使用した次第です。アンプはSV-91B(PSVANE WE仕様)を使いました。
まだ半年かかるか一年かかるか分からない代物ですし、他のラインで別の試作も起こしていますので慎重に検討を重ねて製品化を目指していこうと考えています。
そんな訳で一本目は何とか終了。二本目はリスナーズリクエストによる原点回帰プロジェクトの第一回でした。この放送を通じて真空管アンプの面白さ、奥深さがだんだん分かってきた。是非もういちど入門編から具体的に音を聴きながら真空管アンプのイロイロを勉強してみたいというメールが沖縄のTさんから届いたのがきっかけです。
その第一回は"~はじめての真空管アンプ選び~シングルアンプの魅力に迫る」と題し、SV-S1616Dの全モデル(多極管,2A3,300B)すべてを使用してシングルアンプとは?多極管と三極管の違いは?2A3と300Bはどう違うの?…という疑問に全てお応え出来る内容になったのではないかと思います。
今回もYさんが頑張ってくれました!今までの例に倣い、リファレンス曲を用意。今回は
ホリーコールの"Don't Smoke in Bed"から一曲め"I Can See Clearly Now"をピックアップし、イントロのベースの沈み込み,ピアノの抜け、ヴォーカルのサシスセソ(子音的要素)のニュアンスを中心に比較しています。このソースは発売後既に20年以上を経過していますが、いまでもオーディオチェック用の重要なリファレンスの一つですので、まだお持ちでない方には是非!というところです。この回のオンエアは3月後半。要チェックです!!
という訳で体力的には極めて厳しい一日でしたが、今回もTさん,Yさんのおかげで無事収録を終えることが出来ました。ふぅ~お疲れさまでした!!