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(7/21)記録と表現

今回の東京二日間はいつもと少し違う流れ…短い出張でしたが、途轍もなく大きな何かを自分の中に残した、そんな気がしています。

その一つ目の出来事はHさんとのひと時。Hさんは日本を代表する写真家の一人で、躍動感のあるポートレートや画面から音楽が聞こえてくるような作品により、多くのミュージシャン撮影を手掛けていらっしゃいます。皆さんは。「NO MUSIC, NO LIFE.」というコーポレイト・ボイスをご存じでしょう。これらの写真も全てHさんの手によるものですし、FM放送の音楽番組を担当されたり、震災で傷ついた故郷の復興を支えようとロック・フェスを主催されるなど、多方面で活躍されている芸術家です。

出会いは2月の東京試聴会。その時はふた言三言お話をさせて頂いただけでしたが、今回やっと念願なかってゆっくりお話を伺うことが出来ました。真空管アンプの音が聴いてみたい…その言葉に導かれるように訪ねたHさんのご自宅。
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真空管アンプの経験がないと仰るHさんに聴いて頂くアンプは何か…選定にはかなり悩みました。真空管アンプを聴いたことがない方のイメージが必ずしも芳しいもので無いだろうことは想像に難くありません。唯一分かっていたのはつい最近まで使われていたハイエンドシステムを解体され、Hさん曰く”だんだん音楽を聴くのが大袈裟になっていることに違和感を感じて、システムをミニマムにした”という情報のみ。そこでHさんの撮ったポートレイト写真を何度も何度も見て浮かび上がってくる音のイメージ…尖っていて、でもどこか優しくて儚い…そんな機微を伝えてくれるオーディオ組合せは何か、と考えて車に積んでいったのがSV-300LB/SV-8800SE/SV-284Dでした。

最初鳴らしたのは8800SE。写真にある”記録”と”表現”という二つの機能を極めて高い次元で両立されているHさんの鋭い感性に自分の手がけたアンプが果たして応え得るのか…正直なところ通電前の結線時から手汗びっしょり。気もそぞろ…何となくフワフワした気持ちを抑えながらいざ音出しをしてHさんの言葉を待ちます。Hさんと一緒に車でご自宅へ向かっている時、”写真にもアナログとデジタルがありますが、単に写実性が高いだけではいい写真とはいえない。被写体のその向こうにある何かを写せるか、その為には或る曖昧さも必要なんです”という言葉が何度も頭の中を行ったり来たり。全てに光を当てるのではなく、当てた光の向こうにある翳(かげ)にフォーカスする…オーディオも同じで単にすべての音を曝け出すだけでは単なる音の出る機械でしかありません。音でなく音楽が鳴るかどうかに賭けたのが今回のセットアップテーマです。

音楽のグルーブを伝え、ドライブする感覚を味わう8800SEか、はたまた音に輝きと光を加えて浮き立たせるような284Dか…その結果はHさんの心の中にどんな心象風景を呼び起こしたかどうかで決まるのでしょう。

Hさんは書いています。

”ポートレイト写真とは表情と姿勢を通して人物の魅力を写真に定着すること”

であるならば

”オーディオとはソースと装置を通して音楽の魅力を再生音に定着すること”

写真とオーディオが一見全く関連がないようで、実は一番根っこで大きく繋がっていることを改めて感じた、忘れられないひと時になりました。記録と表現の両方に繋がっている点で両者はとても近い存在であることをHさんは教えてくれました。



by audiokaleidoscope | 2016-07-22 21:38 | オーディオ

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